ハンマーと弦の整調

ハンマーがしっかり弦を打弦しなければピアノの音質に大きな影響を与えます。調律師はハンマーの適切な位置を把握し、理想的な音色を引き出すようハンマーの間隔と傾きを調整します。これによって、ピアノの音がより豊かで響きのあるものになります。

この作業は「弦合わせ」と呼ばれる作業となります。

ハンマーはネジで取り付けられている。一つ一つハンマーが真っすぐ弦に当たるか確認しながらネジを緩めては締めての作業を繰り返し行う。

標準的なピアノ整調の所要時間

一般的なピアノの整調作業は、約2~3時間ほどの時間を要します。この時間内に鍵盤の動作確認、ハンマーや弦の微調整など、基本的な整調作業が行われます。調律師は丁寧かつ効率的に作業を進め、ピアノを最適な状態に整えます。

鍵盤の高さ調整。
鍵盤の高さが揃っていないと鍵盤のタッチにも影響が出てしまいます。

鍵盤が凹凸している状態は美観的にも良くないので高さを揃えていきます。

鍵盤の深さ調整。
鍵盤が下に降りた時の深さを揃えていきます。専用の定規をあてがって88本の鍵盤を調整していきます。

複雑な調整が必要な場合の追加時間と理由

複雑な調整が必要な場合、追加の時間が掛かる場合があります。例で言うとバネの状態が劣化していたり、特定のキーを引いた際に生じる異音に問題がある場合、それに対処するために時間を掛けなくていけない必要があります。また楽器の歴史や前回の整調結果に基づいて、細かな部分まで調整を行うことで、ピアノのパフォーマンスを向上させるために追加の時間がかかることがあります。

年数が経っているピアノの場合、バネ系の金属部品から異音や雑音等が発生し、演奏者に不快な思いをさせる不具合が出る時があります。

赤い丸部分はスプリングと呼ばれる金属部品でクロスを接触する際に「ギギッ」などの異音が出る場合があるため要注意です。

そのような異音等が出るときはクロスとスプリングが接触する部分にゴミが溜まっていたり、スプリングが錆びてるため雑音が発生する場合も考えられるのでスプリングの先端を磨いていきます。

整調後の音質の変化や効果について

整調直後と数週間後で音質に変化が生じることがあります。これはピアノが整調作業に適応する時間が必要だからです。特に新しいピアノや長い間整調を受けていなかったピアノの場合、木部や材料が整調に従って変化し、安定した音質を築くために数週間の経過が必要となります。

また、整調が無事に終わった場合、ピアノ本体だけでなく音楽表現にも大きな影響があります。整調によりピアノの音色が均一に整い、音程が安定するため、演奏者はより表現豊かな演奏が可能となります。特に使用頻度の高い演奏者やプロのミュージシャンにとって、整調は最高のパフォーマンスを引き出すために欠かせない大切な作業となります。

今回の「YAMAHA グランドピアノ 簡易クリーニング+預かり修理作業記録」のブログはこれで終了となります。

また別の作業でお会いしましょう😊

それでは、また👋