ダンパーの役割と重要性
ダンパーは打弦した際に発生する余分な振動と音を制御する重要な部品。機能としてはダンパーは弦の振動を途中で止め、次の音がクリアに奏でられるようにします。楽曲の表現力や音楽性を向上させる役割を持っており、正確でスムーズな制動機能を持っています。これにより余計な振動を抑え、ピアノの音質をクリアかつ芸術的に引き出すダンパーの存在はピアノにとって重要な存在となります。
しかしダンパーも時間とともに劣化し、故障することがあります。主な原因としてはフェルトの摩耗や金属の劣化が挙げられます。連続して使用されることにより発生するこれらの問題はダンパーの性能低下を引き起こし、ピアノの音質に悪影響を与えます。
お預かりしたダンパー。
年数が経っているため表面には油と埃が付着し、触るとべた付いています。
ダンパーのフェルトは交換しなくても良い状態なので、表面を綺麗にしていきましょう。
定期的なメンテナンスの重要性
ダンパーだけでなく本体そのものを長期に渡り使用するには、定期的な清掃と適切な湿度管理が欠かせません。埃や汚れがたまると悪影響を及ぼすため、柔らかいブラシやクリーナーを使用して清潔に保ちます。また、ピアノが置いてある環境がピアノに適しているか確認し、必要に応じて乾燥しているならば加湿器を使用して湿度が高い場合は除湿器を用意したほうが無難でしょう。
ダンパーの白い部分はフェルト、羊毛が使われています。空気中の水分を多く含んでしまうとフェルトが固くなり止音不良の原因になるため注意が必要です。
←が作業前で→が作業後。
表面に艶が出て綺麗になりました。
この調子で残りのダンパーも掃除していきます。
またダンパーの正常な動作を維持するために定期的な点検と調整が必要です。不要な力がかからないように注意深くダンパーを確認し、必要に応じて動作をスムーズに保ちます。この継続的なケアによってダンパーの寿命を延ばし、ピアノの音質を長期間にわたり享受できます。
ダンパーが正常に動作するにはフェルトだけでなく、ダンパーに付いているワイヤーも気を付けなければなりません。
ワイヤー部分は金属なので定期的に磨いておかないと錆や緑青等が発生し、動作不良の原因となる場合があります。
これらのメンテナンスを遵守することでピアノ本体+ダンパーは長く安定した音質を提供し、演奏者にとって常に最高のパフォーマンスを実現します。