ピアノの調整が必要なサインは、ピアノの状態に現れます。

鍵盤が大きくガタつく、または反応が悪いと整調と呼ばれる作業が必要なサインです。

そのサインを逃したままにすると演奏がしにくくなったり、音が均一でなくなったり、音色にばらつきが出てしまいます。

ちなみに整調とはピアノの「アクション」と呼ばれる内部機構を調整し、音質や弾き心地を最適化する作業の総称です。

ピアノは複雑な部品が組み合わさった楽器なため使用頻度や経年により部品の位置や動きにズレが生じ、音やタッチのばらつきが出やすくなってしまいます。

整調はそのズレを正し、元の最適な状態に戻す重要な工程です。

修理がし終わったアクションと鍵盤。

年数が経っていたため修理の時間は掛かりましたが満足のいく状態まで修理することができました。

それでは早速、本体に組み込んで調整作業を開始。

大まかな整調の作業工程は…

  1. 鍵盤やハンマーの位置と動きの調整
  2. 打弦距離の基準決め
  3. ジャックの左右上下調整
  4. 鍵盤の高さと深さ
  5. 打弦距離の再調整
  6. ハンマーの接近とバックチェック調整
  7. スプリング調整
  8. etc

※作業の内容やピアノの機種や状態によって変動するため、事前に調整内容や費用を相談することが推奨されます。

特に複雑な調整が必要な場合は、より長い時間がかかることがあり、大体1~3日は掛かる作業となります。

整調にかかる費用もピアノの状態によって異なりますが、一般的にグランドピアノの整調は15,000円から50,000円ぐらいが相場。

特に長期間、メンテナンスを行っていない場合は、追加費用が発生することがあります。

整調は長期的な視点で見ると部品を保護し、全体のバランスを保つために重要な作業。

一つ一つ丁寧に作業を進めていきます。

ハンマー左右位置調整と弦合わせ

ハンマーの打弦角度が調整されるため、ピアノの音色がより均一になり、タッチも滑らかで快適になります。

時間は掛かりますがハンマーを一つ一つ確認。

ピアノ全体の音質を高めるために欠かせない作業です。

打弦距離の調整

打弦距離とは、鍵盤を押した際にハンマーが弦に触れるまでの距離。

これが適切でないと演奏時に違和感を感じることがあります。

正しい打弦距離の設定は、演奏のレスポンスを向上させる重要な要素です​

スプリング調整

弾き心地に関わる重要な部分

(赤丸のスプリング)

ここが強すぎるとスムーズなタッチが得られないため適切な強さになるよう調整していきます。

ここまでが、大体の作業となります。

今回のG2Aは20数年以上、メンテナンスがされていなかったので約2日程度の時間を要しました。

ピアノの内部調整作業(整調)は、ピアノの音質や演奏性を向上させるために欠かせない作業。

ピアノが納品された後でもピアノ本体を最高の状態に保つために、メンテナンス作業を行うことがとても重要です。