今回からは内外部のクリーニング作業ではなく、弦やフレームを外したりする大掛かりなオーバーホール作業を開始。
クリーニング修理予定のアップライトピアノと一緒に工房へ来たグランドピアノ。
ヤマハのG2A
製造番号は#4510165。
製造番号が#4500000番台のため製造年数は1987年~1988年頃ですね。
2024年の今からだと大体37年前に製造されたグランドピアノ🎹
暖かい音色が特徴を持つG2A。
因みにCシリーズはスタインウェイ、Gシリーズはベヒシュタインを意識した音の造りだと一般的には言われています。
それでは早速、中を拝見🔍
恐る恐る確認してみると・・・
響板の表面が埃のせいで灰色!!
しかも弦の断線だらけ!!
30年近く置いたままにしていたらしく、その間にホコリが溜まったのでしょう。
しかも置かれていた環境が地下のため動作不良も多発。
何より弦だけでなく、金属部品という部品はサビだらけでエライことに💦
これではまともに弾くこともできない…
どうしてこうなったか?
実を言うと地下というのは湿度がとても高い状態。
梅雨の時期や夏の時期は1階の湿度が60%未満程度の日でも地下の場合は70%~90%以上ということが多々あります。
しかも地下室は通気性が悪く、外気と断絶されていることから湿度が高くなる傾向があります。このため湿度管理を怠ると以下のような問題が発生しやすくなります。
- 金属部分の錆び
弦やフレームが錆びることで音の伸びが悪くなり、音質に影響を与えるだけでなく断線する可能性がある。
- 音の狂い
湿気が原因で弦やハンマーが影響を受けて音がこもり、調律がしににくなる。
- 木材の膨張・変形
湿度が高いと木材が膨張し、ピアノの内部構造に歪みが生じることがあります。
ピアノという楽器は非常に繊細であり、湿度や温度の変化に対してとても敏感。
特に地下室のような環境では湿気の影響が大きく、適切な管理(除湿器を設置したり)が必要です。
最適な温度は18℃〜22℃で湿度は約50%、この範囲を維持することでピアノ本体の安定性を保ちます。
特に地下室では、外気の温度に影響されにくいものの、エアコンの使用や周辺環境の変化によって温度が大きく変動することがあるため、地下にピアノを設置する際は常に温度や湿度を監視し、適切な調整を行うことが求められます。
ちなみに👇のSNSでこの状態で弾いてみるとどうなるかの動画を投稿しています。
Xでも作業風景を投稿しております👍
ヤマハlu101のクリーニング作業と並行しながらG2の修理作業も開始。
— ピアノリペア工房 (@pianorepairkobo) June 23, 2024
地下に設置していた影響でサビと埃でエライことに😱
これはやり甲斐のある作業になりますね🛠️
とりあえず、弦圧がちゃんとあるか確認しなくては… pic.twitter.com/m2UWXRsIdK