前回の続き→ YAMAHA アップライトピアノ U2 アクション引き取り修理作業③
細かい部品の交換作業が終わったら次はアクション部の動作機構に問題がないかチェックしていきます。特に音を止める役割を持っているダンパー部分の機構は要確認しなくてはいけません。
ペダルを踏む際に「キュッキュッ」や「ギーッギーッ」という摩擦による異音がピアノの演奏時に出る時があるからです。
異音を出来るだけ出さないようにするにはアクションを寝かしてダンパーに部品を分解し、確認します。
特に異音が出やすい、ダンパーロッド。
この部品は右ペダルを踏んだ際、弦からダンパーを離れるために使用されている部品で、これがないと音を伸ばすことが出来ません。
つまり、この金属にダンパーが押し上げられて音を開放する仕組みになっています。
しかし、ダンパーに接触する時は緩衝材の役割を持つクロスに「ダンパーロッド」が当たって初めて音を開放しますが、たまに金属部分とクロスが当たる時に生じる摩擦音が原因で異音が発生してしまいます。
上の画像を見ても分かるように金属表面に緑青が付着しているためクロスと擦れて異音が発生していました。
とりあえず、異音が出ないように表面を磨いてツルツルにし、再度アクションに取り付けてダンパー関係のメンテナンス作業は完了です。
ダンパーの確認作業が終わったら次はハンマーの整形作業に移ります。
年数が経っているピアノの場合は表面に弦を打弦した時の跡が残っているのがほとんどです。
演奏するにはどうしても残ってしまう跡ですが、そのまま放置しておくと音が硬くなり「キンキン」とうるさくなってしまいます。
そのため適切な状態のハンマーを維持するためにハンマーの表面を削り取り、表面を揃えていきます。
整形が終わり次第、音色を揃えるための針刺し作業(整音)をしていきますが、まず分解した部品を先に組み上げていきます。
分解した部品を用意し、一気に組み上げていきます。この組み上げ作業も地味に時間が掛かる。
新品になった「フレンジコード」。これで約10年はずっと持ちますね。
見た目も茶色から真っ白になったので印象が大分違います。
お次は「ブライドルテープ」。これも「フレンジコード」と同様、新品に交換したので安心して演奏ができます。
アクション部の部品交換、動作確認、一つ一つ細かく確認していかないと動作不良に繋がるので入念に確認作業を行っていきます。