前回の続き→ YAMAHA アップライトピアノ U2 アクション引き取り修理作業①
ブライドルテープの確認が終わったので、次は「フレンジコード」を確認しましょう。
ちなみに「フレンジコード」ととは以前の記事に書いた「ブライドルテープ」と同様にハンマーが弦を打弦した際に次の打弦に備えてハンマーが手前に戻るためにサポートする部品となります。
劣化で茶色くなっているフレンジコード。
このまま放置しておくと切れてしまい、演奏に支障が出てしまうので新しいのに交換。
年数が経ってメンテナンスが施されていないピアノのほとんどは何かしら部品や本体にダメージがある。今回のピアノのように虫喰いによるクロスの損壊に経年劣化した部品の数々。
勿論、動作不良も出てきてしまう場合がある。
ページの容量で分かりづらいかもしれませんね💦すみません。
動画内ではハンマーが奥に行った後に手前に戻ってこないハンマーが何か所か確認できます。
この状態を我々、調律師の間では「スティック」と呼んでいます。この状態のハンマーで演奏をしようとすると連打が出来なかったり、鍵盤のタッチが重くて弾きにくい等の問題が生じてしまいます。
「ブライドルテープ」や「フレンジコード」の交換作業も大切ですが、個人的にはこの「スティック」を無くすことが一番の肝。
1本や2本程度だったら約300本中1~2本なので簡単に修理できるが、これが20本~50本、60本~100本になると時間が掛かってしまい、お客様宅での修理は難しくなります。
また、この「スティック」の現象はピアノが置いてある環境とその日の天気によってクロスや木材がその場の環境に適応し、動きがスムーズになったりするため不具合が出ているのかそうでないかの判別が難しくなります。
「スティック」が起きている部分は発見次第、早急に修理しなくてはいけません。
一つでも見逃してたら再度修理することになり、二度手間になってしまうからです。
年数が経っているピアノの多くは動きが鈍いのでハンマーの軸になる「センターピン」を全交換しなくてはいけません。
今回のピアノの場合は「ブライドルテープ」、「フレンジコード」、「スティック」等のフルコースなので一本づつ交換していきます。
本来ならば2~3時間で終わる作業でしたが、「スティック」の修理作業が加わるだけで、その倍の作業時間が掛かります。
とにかく黙々と修理作業を開始しましょう🎵