
1936年ごろに製造されたヤマハのアップライトピアノのオーバーホール作業となります。機種はNo,100となります。

アクションの動作を確認中🔍
全体的に動作不良が多発。
軸となる部品を交換しなくてはならない。

鍵盤にも油等がこびり付いている。
これは後の作業で表面を研磨して艶を出していく。

断線も確認🔍
この状態で断線しているということは本体の張力のバランスが崩れている可能性がある。
これは時間が掛かる作業になりそうだ。

ピアノ本体の状態を確認し終えたら分解するために本体を寝かします。

作業をしやすくするために鍵盤とアクションが乗る部分(棚板)を取り外しました。
これで弦圧測定と弦を取り外すのがやりやすくなります。

弦の取り外し作業を開始。
いきなり緩めていくと壊れてしまう可能性があるので、まず最初に全体のチューニングピンを緩めていきます。

全ての弦を取り外しました。
これでより正確な弦圧が測れるようになったので測定を開始。

弦圧測定をするため細い糸を用意し、測定を開始。
糸が先に青い丸部分に着いて赤い丸部分に隙間があれば弦圧はあるということになるが、今回は両方とも同時に着いてしまった。
つまり弦圧は0ということになる。弦圧が0のままだとピアノの響きと音量に影響を及ぼすので弦圧を出すための調整を開始…の前にフレームを外さくてはいけない。

チェーンブロックでフレームを取り外し中
フレームは鋳物なので結構な重さがある。
真っすぐ上に持ち上がるようにバランスを考えた上で紐等をフレームに括り付けて持ち上げていく。

無事にフレームを取り外しが完了。
弦を取り外さない限りは見れない状態になりました。
これで弦圧調整作業を開始できます。

弦圧の調整作業。フレームが載る部分の厚さを削るためカンナを準備。
少しずつ削って調整していきます。

削り終えたら再度フレームを本体に入れて測定開始。
2mmほど弦圧が出たので弦圧調整作業は終了。
このままフレーム合わせ作業に入ります。

「紅殻」と呼ばれる粉末を用意し、フレームの裏に塗っていきます。
塗った「紅殻」がカンナで削った部分に満遍なく付けばフレーム合わせ作業は完了です。
作業風景は下の動画になります。

フレーム合わせ作業が完了しました。
次はボルトとネジを締めていきますが、年数が経っていると錆等が付いているので、一度磨いてからフレームに取り付けていきます。

フレーム合わせ、弦圧測定、フレームの取り付け作業が無事完了しました。
ここまでが弦を張るのに必要な作業です。
これでようやく新しい弦を張ることができます。