ハンマーの接近調整が終わったので今度は『バックストップ』という作業に移ります👌

この作業は打鍵した後のハンマーが次の打鍵に備えるための位置調整でもあり、連打性能の低下や二度打ち(リバウンドともいう)、打鍵したら音が伸びない等のトラブルを防ぐための作業でもあります。

ハンマーは基本的に弦を叩くと跳ね返り手前に戻ってきます。

鍵盤そのものを下まで押し下げると、「バックチェック」という部品が、ハンマー部品の下にある黄色いレザーが貼られている「キャッチャー」を受け止めることで跳ね返ったハンマーの位置を揃え、次の打鍵に備えます。

この赤い部分が「バックチェック」、青い丸の部分が「キャッチャー」と呼ばれます。

実際に「バックチェック」が「キャッチャー」を受け止めようとしていますね。

この状態の際は弦とハンマー先端との距離が大体13mm~15mmになるように「バックチェック」を調整していきます。

低音部、中音部、高音部とセクションごとに違うので注意してください。

両手で鍵盤を4~5本同時に打鍵します(鍵盤の押す力はメゾフォルテ程度ぐらいで)。鍵盤を押す力は同じ力でしないと永遠に揃わないので打鍵するコツを覚えます。

大体ハンマーと弦の距離をこのくらいになるように調整し、弦から跳ね返ったハンマーの位置を揃えます。

ハンマーを適切な位置で止まるようにしないとアップライトピアノの構造上、打鍵するたびに元の位置まで戻ると連打性能の低下や二度打ち(リバウンド)、打鍵したら音が伸びない等のトラブルが出てしまうからです。

そのようなデメリットが出るのなら無いほうが良い・・・という訳にもいきません😥

「バックチェック」と「キャッチャー」が無い状態でハンマーを打鍵すると連打がまったくできなくなるため必要不可欠な部品なのです💦

「バックチェック」を調整する時はこのオレンジ色の丸い部分を前後に動かして調整を行います。

弦とハンマー先端との距離が狭い場合は手前に(緑色の矢印)、逆に弦とハンマー先端との距離が広い場合は奥(赤い矢印)へ動かして調整を行います。

ちなみにこの作業は「U3H クリーニング記録⑪🛠️」に記載した『鍵盤の深さ調整』を先にしておかないと出来ない工程でもあります。

なぜなら鍵盤の深さが変わると、打鍵後のハンマーの位置が変化してしまうのです。

故に鍵盤の深さを修正、もとい再調整をした時は『バックストップ』の調整も必然的に見直さなくてはいけません。

複雑な部品や機構がまとまっていて、1つ1つ独立した工程があるように見えますが、何かしらの不具合があるとその部品に密接な関係を持っている部分に影響が出てしまうのがこの『整調』と呼ばれる奥の深い、ピアノ本体の総合調整となります。

結局、完全に独立した作業工程はないと言ってもいいかもしれません。

それでは次回、ダンパーの『総上げ』と『始動』について載せていきたいと思います👋