アクション等の作業が終わったので、中の調整作業を開始します。
交換作業が終わった部品とアクションを本体に組み込んでいきます👌
組み上げたら多くの調整手順がありますので一つ一つ作業を進めていきます。
ピアノ調律をする際のほとんどは調整をせずピアノ調律だけで終わってしまう事が多々あるので、ピアノのクリーニング作業をする際は必ず中の調整を施していきます・・・がその前に・・・
中の調整を始める前にゴキブリの卵で被害があったダンパーフェルトも交換。
周りのダンパーフェルトと比べると真っ白なフェルトになりましたが、ちゃんと音が止まる様になりました。ちなみにダンパーフェルトが茶色くなるのは空気中の油や水分をフェルトが吸ってこのような色になってしまいます🔍
茶色いダンパーフェルトのまま使っていくとフェルトそのものが硬くなっていき、音を止める際に『シャリンッシャリンッ』と異音が出る場合がありますので、その際はダンパーフェルトを全交換しないと異音は消えません。
なにより今回のように部分交換すると新しい部分だけ白いので目立ってしまいます。
とりあえずダンパーフェルトの話はここまで。
ここからは本題の調整作業に移ります。
まず最初にする作業はハンマーの弦合わせ作業になりますね。
この作業はハンマーが弦に対し真っ直ぐにハンマーが動いているかの確認作業となります🔍
結構この作業は大事な工程なので、ちゃんと調整されていないと音量にも影響が出る場合があるためハンマーを真っ直ぐに調整していきます。
特にハンマーが弦に近づくと『走り』と呼ばれる現象が出る場合があります。
これは弦に近づくとハンマーが右に行ったり、左に行ったりする現象です。
この現象が起こった場合はハンマーを取り外し、のり紙を貼って真っ直ぐに動くように調整します。
この『走り』の調整が終わったら今度はハンマーとハンマーの間隔を出来るだけ揃えていきます。
間隔を揃えないと隣のハンマーに当たって動作不良の原因になるため、『走り』を見つつ『ハンマー間隔』も見ていきます。
『ハンマー間隔』は一つ一つ弦に近づかせて見ていきますが、『ハンマーの走り』は定規を使って前後にハンマーを動かし、どのハンマーが右に動いているか、左に動いているか確認していきます。
セクションごとにやっていくのが基本なので時間を掛けながら作業を行います👌
この作業はグランドピアノの場合だと、とても重要な作業になります。
グランドピアノはハンマーの間隔と向きの状態によってその後の作業にも影響が出るのため、グランドピアノのほうがアップライトピアノの作業より時間が掛かってしまいます。
ハンマーの『走り』と『間隔』の調整作業が終わったら次は『キャプスタンボタン』の調整に入ります。
この作業は鍵盤を弾いた時のハンマーが動く際のタイムラグをなくすための作業でもあります。
穴に棒を差し込んでそのまま逆時計周りに動かすとボタンは上がり、時計周りに動かすとボタンは下に動きます。
この『キャプスタンボタン』の調整はタイムラグをなくすための作業でありますが、演奏者の好みによってはタイムラグがあるようにして欲しいというオーダーがありますので、その際はタイムラグがあるように調整します。
タイムラグがあると鍵盤を弾いた際に若干鍵盤が軽く感じるのです。
しかし、この部分は基本的にタイムラグがないように調整しておくのでタイムラグがあるようにするのはオーダーされたときにしかしない作業でもあります。