今回からはヤマハのベストセラーモデルのU3Hをクリーニングして、さらにサイレント(消音ユニット)を取り付けていきたいと思います。

U3Hは高さ131cmの3型サイズのスタンダードなアップライトピアノです🎹

アップライトピアノの中で高さが十分あるので、弦の長さや広めの響板によって全体の音色と響きを合わせ持ったピアノでもあり、特に昔のピアノは良い素材を使っているので、我々調律師界隈でもオススメのピアノでもあります。

しかし、製造時期を考えると年数は結構経っているためやはりメンテナンスは必要になります🛠️

それでは、分解し中を改めて見ていきましょう。

鍵盤の手前はやはり経年劣化のため反りあがっていますね💦

ここの部分は「木口」と呼ばれる部分で、音色や響きには関係ありません。見栄えの問題がほとんどですが、稀にここの部分が反りあがり過ぎて手前の木に当たり、鍵盤の動きに不具合が生じる場合があります。

例えば鍵盤を打鍵したら戻らなくなったなど……そのため、ここの部分は交換していきます👍

さて、一番見えるところで問題が生じておりました。

よく側面に「免」と書かれたシールが貼り付けてある場合がありますが、今回はピアノの足にテープ系の接着跡がくっきりと残っておりました。

ピアノを支えるために貼り付けてたのか、それともただ単にテープを貼り付けてたのか?ピアノの作業が終わって納品する際に改めて聞こうかな🧐

とりあえず、ここの部分もあとで綺麗にしていきます。

それではパネルを取り外し、中の掃除を開始します。

パネルを取り、中を確認してみると細長い黒いカプセルが結構な量でありました🔍

実はこれ「ゴキブリの卵」です。

基本、このようにゴキブリの卵が大量にあるということはあまり使用されていないピアノに多く見られます。

普段見ないこのゴキブリの卵、一つの卵に20~40匹は入っているそうで一匹のゴキブリが自分の寿命が尽きるまで20個以上は生むそうです。

しかも卵を産み付けてから1か月ちょっとで孵化し、また新しい卵を産む。

よく「一匹見つけたら100匹いると思え」と言われたことがありますが…💦

また、ゴキブリには仲間と共に暮らす集合性という欲求が強くあるそうで、仲間を産卵場所にどんどん呼んでは増え、どんどん呼んでは増えを繰り返していきます。

挙句ゴキブリが出す糞には仲間を憩わる効果があるらしく、そこら中、ゴキブリとゴキブリの糞まみれになります。

つまり、今回のメインとなる作業は「害虫被害によってダメージを負ったU3Hの部品交換兼ピアノクリーニング作業」となります。

ただゴキブリの卵を除去すれば良いという訳でなく、前述にも書いたようにゴキブリの糞やおしっこによって被害が出た部品があるか、一つ一つ確認しなくてはいけません。

しかも、中だけであれだけの量の卵があるということは、目で見えるところに限らず、アクション、弦、響板、駒、ダンパーのフェルト、etc……ありとあらゆるところに卵が付いている可能性があるということです😂

ちなみにこの作業は普段の倍以上に時間が掛かる作業になります🤣

次回のブログの内容はゴキブリの卵の除去作業が中心となると思うので、それでは👋