さて、注文したピン板が届くまでは他の部品を修理することに専念していきます。

今回は『駒の割れ』修理。

まず、駒の割れ修理を行う前に駒に刺さっている弦を引っかけるための『駒ピン』が折れていないか確認していきます。

赤い丸部分が『駒ピン』という部品です。

昔のピアノには真鍮製の部品が多々使われておりますが、この大正ヤマハは手が加えられているため鉄製になっておりました。

しかし、100年前のピアノをいつ手直ししたのかは不明なのでもう一度状態を確認しなくてはいけません。

もし見落としている状態(折れた状態)で新しい弦を張ると簡単に外れてしまい、折れた『駒ピン』が中に残ったまま取れなくなって修理するのが大変になります💦

基本的に『駒』に関係している修理は弦が無い状態でしないと作業がしづらくて時間が掛かります。

とりあえず、『駒ピン』には問題はなかったので『駒割れ』を修理していきます。

上の画像を見て分かるように盛大に割れております😥

70~90㎏の張力が掛かっているので仕方がないのでしょうね。

昔のピアノほどこのように割れているのが結構あります。

木材の経年劣化や木材本来の木目によって引きおこる現象でもあります。

本当にひどいのは全部の駒にヒビが入り弦と駒ピンが外れて弾けなくなってしまっているピアノもあるため、これはまだ優しい部類に入ります。

それでは、修理開始。

駒の部分がどれくらい損傷しているか確認するため『駒ピン』を外します。

次に『駒割れ』が表面のみで割れているのか、それとも奥深くまでガッツリ割れているのかを確認します。

前者なら表面の木材のみを新しく加工する、後者なら全交換のどちらかです。

どうやら前者でしたね😊

表面だけ割れているのならスムーズに交換できます。

と言ってもここの部分はピアノ部品専門店でも置いてない部品なので、自分で新しい『駒』を探さなくてはいけません。

力が加わる部分には堅木が使われるので、同じ木材を探しにホームセンターへ行ってきます。

堅木を厳選し、いざ加工開始。

切り取った部分と同じ形にするため木材を切り形を整えます。

加工するまえは余裕をもって少し大きめにしときます。

あとは何回も何回もオリジナルと見比べて加工をしていきます。

オリジナルよりも少し大きめの『駒』ができました。

あとはこれを元の部分に接着しますが、生半可な接着だと剥がれる場合があるので、圧着していきます。

張力が半端なく掛かる場所でもあるのでしっかりと圧着しなければなりません。

圧着が完了したら次はオリジナルの形に近づけるため加工を施します。

ノミを使って加工を施しますが切れ味が良すぎるのでゆっくり加工していきます。

一度ミスったら形が崩れるので注意しながら加工作業を行い、次回は穴あけ加工に入ります。

ではでは👋