ヤマハ U30BL 到着

ヤマハのアップライトピアノの定番として根強い人気を持っている「U3シリーズ」。
高さが131㎝あるこのタイプのピアノは響板面積が広く、また弦も長いため低音域の響きが結構あり、多彩で豊かな表現力、音の深さを表現できるモデルでもあります。

特にこのU30BLは「U3シリーズ」中でも後期モデルとなりますね。

そんな人気のある「U3シリーズ」のU30BLが修理のため工房に来ました。
お客様からは音が出ない所が何か所もあるので確認して欲しいとのこと。

それでは早速、拝見🔍

確かに打鍵しても音が出ない所が多々あったので中を確認してみると・・・
なんと中に組み込まれているハンマーが取れている💦

ハンマーが取れてぐちゃぐちゃになっているせいで隣のハンマーに干渉していますね。

これでは支障が出てしまうのも仕方がない。

とはいえ本来であればここの部品はそんな簡単に取れることはないので、外部要因が中の部品(ハンマー)を滅茶苦茶にした可能性がある。

くまなく確認してみると…

左のハンマーを確認してみると欠けている部分がありますね。
これはネズミがハンマーを齧った時の跡でもあります。

つまるところ、このピアノはネズミの被害に遭ってしまったということ。


ネズミはピアノのちょっとした隙間から入り込み、部品で使われているフェルトやクロスを齧る習性があります。

今回は内部に組み込まれているハンマーを中心にやりたい放題していったところでしょうか。

他の部分も確認してみるとあり得ない所にハンマーがありますね💦

ネズミはピアノの中に入り込んだら部品のみを損壊させているか部品を損壊させ上で巣を作っているかのどちらかが多いです。

U30BLに付いているハンマーは「オールアンダーフェルト特性ハンマー」であり、芯のある明るい華やかな上位機種に近い音色を出すことができる。

…なのだが、この状態ではまともにピアノを弾くことも出来ないし、芯のある明るい華やかな音色を出すことままならない💦

鍵盤の上に転がっているハンマー。

ピアノの中は基本的に暗くて狭く、巣を作るには良質な素材が豊富、というネズミにとっては好条件の立地な状況でもあります。

また、人が寄り付かなくなったり、田んぼや木に囲まれているご自宅だとネズミが入り込んでいる可能性があります。


巣を作成するために木材やハンマーとダンパーのフェルト等を集めるため部品を損壊してしまうのでしょうね。

程度にもよりますがネズミ被害に遭ったピアノの場合は時間と費用を掛ければ再生は可能ですし、予防のため「マウスガード」という後付け部品もあります。

(おしっこで弦が錆びついてたりする際は断線する可能性があるので取り換えがオススメです。)

という訳で外れているハンマーを回収し、クリーニング作業を開始します。

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