『ハンマーの間隔、弦合わせ』、『キャプスタンボタン』の調整が終わったら次は『鍵盤の高さ』を調整します🙃

我々の業界では『鍵盤のならし調整』と呼ばれ、鍵盤の軸になる「バランスキーピン」に薄い丸状の紙を入れていき、鍵盤の高さを調整していきます。

対して鍵盤の深さを均一に揃える場合は「フロントキーピン」と呼ばれる部分に少し大きめの薄い丸状の紙を入れて深さを調整します。鍵盤の高さを調整する時は「バランスキーピン」、鍵盤の深さを調整する時は「フロントキーピン」。

同じ名前のように聞こえますが役割が違う部品です。

青丸が「フロントキーピン」、赤丸が「バランスキーピン」となります。

しかも、メーカーによっては鍵盤の高さや深さの寸法は違うので作業をする前に調べておく必要があります👍

『鍵盤ならし調整』は鍵盤の高さを揃えるための作業です。

ピアノには白鍵が52本、黒鍵には36本あります。全ての鍵盤の高さがバラバラだとピアノが弾きにくいためこの作業が必要となります。

ちなみに「バランスキーピン」、「フロントキーピン」は「U3H クリーニング記録⑤」のブログで記載した部品になります。

ここの部分が錆びていたり緑青がキーピンに付いていると調整に必要な丸状の紙「パンチング」が錆び等に引っ掛かり破けてしまうことがあるので注意が必要です。

鍵盤の高さを揃えるためには専用の工具「ならし定規」を使っていきます。

端と端に鍵盤の高さの基準を作り、「ならし定規」を鍵盤上面に置いて鍵盤と「ならし定規」に隙間が出るので、その隙間がある部分に薄いペーパーパンチングを入れて高さを揃えていきます。

高さを揃えるためのペーパーパンチングには複数あり、紙一枚の厚さが一つ一つ違います。

ペーパーパンチングの厚さには0.04mm、0.06mm、0.08mm、0.12mm、0.15mm、0.30mmと種類ごとに色分けされております。

取り扱っているピアノ部品専門店によっては色々種類があります。

大体ペーパーパンチング1枚で高さは倍近く変わります。

実際の高さの変化の仕方は多少違いますが、単純計算でも一番薄い0.04mmのペーパーパンチングを入れたら、鍵盤の高さは0.08mm近くになりますね。

このパンチングを入れる際は出来るだけ固めのパンチングを入れていきます😊

あまりにも薄いペーパーパンチングを入れて調整するとパンチングそのものが柔らかいため鍵盤の高さが安定しなくなります。

鍵盤の高さが安定していないと度々鍵盤のタッチが変わってしまう場合があるので出来るだけ厚めのペーパパンチングを入れていきます。

このペーパーパンチングの調整は技術者の経験とカンで調整をしていきます👍

白鍵の高さを揃えたら次は黒鍵の高さの基準を作り、白鍵と同じように高さを揃えていきます。

黒鍵の高さは調整は白鍵の高さ調整が終わってから正しく調整できます。

その後は鍵盤の深さ調整に入ります。

我々の業界では『鍵盤のあがき調整』と呼んでいます。

この調整も高さ調整と同じ、専用の工具『あがき定規』を使って、適切なペーパーパンチングを選んで鍵盤の深さを全て揃えていきます。

ここでも薄いペーパーパンチングを入れていくと鍵盤のタッチは柔らかくなった感じになり、逆に硬いペーパーパンチングばかりを入れると鍵盤のタッチは硬く感じます。