本体の分解から始まり、外装の磨きに金属磨き、摩耗した部品の交換、鍵盤の磨き作業もようやく完了しましたね。

これで作業は終了!…ではなく…

ここからがピアノにとって一番重要な作業となります。

磨きおわった鍵盤と修理したアクションを本体に組み込んだら早速「整調」「調律」を始めていきます。

ピアノは美しい音色と感動的な音楽表現を生み出すことが出来る楽器ですが、そのパフォーマンスを引き出すためには正確な内部の調整作業の「整調」とピアノの音を揃えるための「調律」が欠かせません。ではその二つの重要性についてちょっとだけ書いていきたいと思います。

整調

整調とは、ピアノの鍵盤やアクションと呼ばれるメカニズムを調整し、ピアノが本来の性能を発揮できるように整える作業です。

ピアノ内部には約8,000もの部品があり、それらが連動することで美しい音を生み出します。

この複雑な仕組みを最適な状態に保つことが整調の目的です。

今回のカワイBL71も

  1. ハンマーと弦の距離
  2. ハンマー押し上げる部品の隙間を無くす作業
  3. 鍵盤の高さ設定
  4. 鍵盤を下に押した際の深さ設定
  5. 連打時の鍵盤の感触
  6. ハンマーが弦にゆっくり近づいた際の距離
  7. ハンマーが打弦した後の弦との距離
  8. 打弦した後に全ての音がちゃんと止まるかの確認
  9. ペダルを踏んだ際に雑音が無いかの確認
  10. etc…

と上記の工程を経てようやく最適な状態へと更新することが出来ます。

「整調」と単語一つの中に上記の作業が含まれているので結構時間が掛かります。

(※リストの作業はほんの一部に過ぎません)

内部調整が不十分だと鍵盤が重く感じたり、音色にばらつきが生じたりします。

これにより演奏の快適さが損なわれ、音楽表現が制限されることがありますので、ピアノが持つ本来のポテンシャルを引き出すことが可能にすることが出来る「整調」作業はピアノに必要不可欠な作業です。

調律

ピアノ調律の基本は、ピアノの音を正確な音高と音色に調整することです。

では、なぜピアノ調律が重要なのでしょうか?

まず、調律をするこによって音の美しさとバランスが実現されます。

正確な音高と均等な音色によって、ピアノの響きは一層美しくなり、演奏の正確さも保たれます。

ピアノが正確に調律されていると、演奏者は正確な音程で演奏することができます。

音がずれたままの状態で練習し続けると音楽の流れやハーモニーが乱れ、正確な演奏が難しくなります。

調律されたピアノで演奏することで、正確な音高や音色を聴き分ける能力が養われるので、これにより音楽的な感性が磨かれ、より深い表現力を持った演奏が可能となります。

内部の「整調」作業が終わったら今度は「調律」を開始。

ピアノは多くの弦とハンマーからなる複雑な楽器なため、使用頻度や気候の変化、年数を置いたことよって音がずれてしまうことがあります。

また年数が経ったままの状態にしておくと弦に癖がついたり、断線したりする場合があるので定期的な調律が必要となります。

調律は弦の張力やハンマーの打撃点などを微妙に調整することで、正確な音程と美しい音色を実現しすることができる高度な作業。

確かに外装や金属磨き等の美観を蘇らせる作業も大切ですが、一番の肝はこの「整調」「調律」の二つの作業を行うことで、ようやくピアノのクリーニング作業は終了となります。

Xでも作業風景を投稿しております♫