ピアノの調整作業に入る前に内部機構の「アクション」を修理していきます。

経年劣化した部品をそのまま放置すると、演奏に支障がでて細かい表現が難しくなり、ピアノ本来の性能を十分に発揮できなくなることもあります。

一目見ると特に問題は無さそうですが、細部を見ると結構部品が摩耗し破損しているところが多々あります。

早速分解していきましょう。

主にアップライトピアノに使用されている「ブライドルテープ

赤い部分の部品も含めて若干色が変色していますね。

周りも埃が積もっているのが確認できます。

耐久性と柔軟性を兼ね備えた素材で作られているブライドルテープ

その先端には「ブライドルチップ」と呼ばれる小さな部品が付いており、このチップがハンマーとの接続部を補強する役割を果たしていますが、テープやチップ部分が劣化で破損すると、テープの効果が十分に発揮されず、動作の不具合や雑音が発生する場合があります。

そのためチップ部分を含めたテープ全体を交換していく必要があります

ブライドルテープはハンマーの動きをサポートし、ハンマーの戻りや連打の動作をスムーズにすることで、演奏性能に直結する重要な部品。

劣化するとテープが千切れて連打の不具合が発生し、演奏の質が大きく損なわれることがあるため新品に交換していかなければならない。

演奏性能と美観も蘇るので交換するのにこしたことはありません。

内部機構の部品は時間の経過とともに摩耗や劣化が進みます。

特に、湿度や温度の影響を受けやすい環境では、部品が変色したり破損したりすることが多く、劣化が進むとハンマーの戻りが悪くなり、演奏に支障をきたします。

さらに、劣化したテープやチップが原因で雑音が発生し、演奏中のストレスになることもあるため定期メンテナンスや一年に一回の調律による点検が必要です。

特に、長期間メンテナンスをしていないピアノは、一度専門家に診断してもらうことをお勧めします。

蛇足編…

とはいえ、ブライドルテープの本数は鍵盤の数と同じく88本。

お客様からも「どのくらいの金額が掛かるのか知りたい」とよくお聞きするので、最後は交換費用等の話を書きたいと思います。

価格は1本あたり数百円程度が一般的な相場。
特に、ブライドルチップ部分が破損している場合は、チップを含む交換用パーツが必要となり、その分追加の費用が発生します。

ピアノの種類(アップライトかグランドか)や状態によって必要な部品数が異なるため、総額を見積もる際には、劣化の程度を確認することも重要です。

費用を抑えるための工夫

全交換は高額になるため、まだ機能している部品が多い場合は劣化した部分だけを交換する方法が安く済む場合があります。

ただし、部分交換を繰り返すと長期的には割高になることもあるため、ピアノの使用頻度や状態を考慮した判断が重要となります。

他の部品と同時に交換する

定期的な調律やアクション部品の修理と同時にブライドルテープ交換を依頼することで調律師の出張料や作業時間を短縮できる場合があります。

これにより、全体的な費用を抑えることが可能です。

費用対効果を最大限にするためには、信頼できる技術者に見積もりを依頼し、ピアノの状態をしっかり把握することが大切です。

Xでも作業風景を投稿しております♪