今回からは外装の磨きが中心の作業をなります。

ピアノ外装の汚れや傷は見た目だけでなく、ピアノ全体の美観に影響を与えることがあるので大切な作業です。

外装磨き作業[前編]

まず、全体の外装を研磨する前に養生テープで本体を覆います。

昔に使われている塗料はラッカーやカシューと呼ばれる塗料が多く、研磨すると粉が舞ってしまいます。

前回、綺麗に磨いた内部に掛からないよう養生テープでカバーしなくてはいけません。

磨き前の外装。

よ~く見ると表面が白くなっていて細かい傷が多々確認できますね。

ピアノの外装は、その光沢や耐久性を維持するために特殊な塗装や仕上げ材が使われています。

それぞれの素材に応じた適切な作業が必要です。

ちなみにカワイのBL71に使用されているのはラッカー塗料になります。

ラッカー塗料は柔らかいため傷が付きやすい傾向がありますが、その美しい仕上がりと独特の深みが評価されている塗料でもあります。

ラッカー塗装を磨く場合は、力を入れすぎず優しく磨いていくことが基本。

磨き作業後。

艶が戻り、本来の黒艶出し塗装の色になりましたね。

とても綺麗になりました。

小さな傷を放置していると、時間の経過とともに塗装の剥がれやヒビ割れにつながることがあります。

なぜなら凹んでいる傷部分が汚れを吸収しやすくなり、見た目の劣化を加速させる原因となるため早めに対処するのが重要です。

同じ要領で他の部分も表面に大きな傷や汚れがないか確認していきます。

ピアノで傷が多いのは譜面台と鍵盤蓋。

一番人が触るところは傷やヘコミが比較的多く、譜面台は楽譜を置くところでもあるので、細かい傷が多くあります。

ホコリや汚れも蓄積しやすいところなので白くなっていますが、研磨をすれば…

ショールームに置いてあるような状態まで艶を出すことができます。

艶が出ているので鏡の様に反射しているのが良く分かりますね。

ちょっとした研磨作業をするだけでもここまで違くなります。

ピアノの外装に付着した汚れや擦れ傷は美観を損なわせるだけでなく、その溝から湿気を溜めやすくし、外装や内部の木材にダメージを与える可能性があります。

今回のようなクリーニング作業時にピアノの外装の破損状況を把握できるので、磨き作業は大切な作業です。

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