中の調整作業が終わったので、次はマフラーフェルトの交換作業を行います。
それと、折角なので今回はマフラーフェルトの基本情報とちょっとした歴史をお話ししましょう。
マフラーフェルトとは何か
マフラーフェルトはアップライトピアノの内部で重要な役割を果たす素材の一つです。
このフェルトは真ん中のペダルを踏むことでフェルトが弦とハンマーの間に挟まれ、音を抑える役割を果たします。
ようはこのフェルトがクッションの役割を果たし、ハンマーが弦を叩く力を弱めることで音が小さくなる仕組みになっています。
演奏者はこれを利用して、夜間の練習や音量を抑えたい場合に使用することが多いですね。
使用頻度と摩耗
しかし、マフラーフェルトは使用頻度によって摩耗が進み、摩耗度合いによってはピアノの音質に直接的な影響を与えます。
頻繁に弱音ペダルを使用する場合、フェルトは繰り返し圧力を受け続けるため跡が付いて時間と共に薄くなり、フェルトが弦とハンマーの間で十分なクッション効果を発揮できなくなり、弱音効果が減少したりします。
また、フェルトが破れていたりするといきなり音が大きくなる音の不均一の原因にもなります。
特に毎日の練習や長時間の使用によって、フェルトの寿命が短くなることがあります。
定期的なピアノ調律時に点検と必要に応じた交換が必要です。
使用頻度の高いフェルトの場合は⇚の画像のようにハンマーの跡が付いています。
このまま使い続けるとフェルトが破けてしまうので、新品に交換していきます。
新品に交換完了✨
使用頻度にもよりますが、フェルトを定期的に交換することで、常にクリアでバランスの取れた音を保つことができます。
マフラーフェルトの進化
マフラーフェルトの歴史はピアノの発展とともに進化してきました。
初期のピアノでは音を抑えるためのメカニズムが単純で、フェルトの品質も現在ほど高くありませんでした。
それに二本ペダルしかないタイプのピアノの場合はペダルを踏んで音を小さくするのではなく、いちいち屋根を開けて手動でマフラーフェルトを下げないと使えないピアノもありました。
しかし技術の進歩とともにより3本ペダルへ進化し、フェルトも良い素材と製造技術が改良され、現在のマフラーフェルトは均一な厚みと密度を持ち、音のバランスを保つために精密に作られている非常に高品質なフェルトが使用され、アナログですが手動からペダルを踏むだけで音を小さくすることもできるようになりました👍