鍵盤も綺麗になったので早速、中の調整作業、専門用語で言うなら「整調」作業に入ります。
整調はピアノの鍵盤アクション機構の動きや寸法を正確に調整し、ピアノが最適な状態で演奏できるようにする作業です。
この作業は、各部品の位置関係を調整し、音がスムーズに出るようにすることが求められます。
調律と整調の違い
調律と整調、一見同じような文字ですが作業の中身が違います。
調律
音の高さ(ピッチ)を正確に調整する作業。
整調
鍵盤やハンマーなどのメカニカルな部分の調整を行う作業で、演奏のしやすさを求める作業です。
整調に含まれる作業内容としては…
- ハンマーの位置と角度調整
- 鍵盤の高さや深さの調整
- ハンマーと弦の距離調整
- アクションパーツのネジの締め直し
- ダンパー、ペダル等の調整作業
上記の作業はほんの一部で、細かい作業は多々あります。
また、メーカーによっては寸法が違う場合があるため臨機応変に調整を施していかなければなりません。
弦の角度調整
ハンマーの角度が斜めになっていると音量と音色にも影響が出てしまうので、ハンマーが弦を真っすぐに打弦するよう一本づつ調整していきます。
この作業を行うことで、ピアノの音質が安定し、より美しい音色を引き出すことができます。
鍵盤の高さ、深さ調整
この作業を正確に行うことで鍵盤のタッチが変わり、演奏者が鍵盤を押す際の抵抗が軽減され、指が自在に動かせるようになります。
これにより演奏の表現力が向上し、より自然な音楽を奏でることができます。
整調はピアノの鍵盤アクション機構を正確に調整し、最適な演奏状態に整える作業です。
これには、鍵盤やハンマーなどのメカニカルな部分を調整し、音がスムーズに出るようにすることが含まれます。
整調の目的は、ピアノの演奏性を向上させること、音質を改善すること、そしてパーツの寿命を延ばすことです。
整調の効果
弾き心地の改善
整調を行うことで、ピアノの鍵盤のタッチ感が向上し、弾き心地が格段に良くなります。
鍵盤の高さや深さを調整することで、演奏者が鍵盤に触れた際の感触が均一化され、繊細なタッチや連打、トリルなどもスムーズに演奏できるようになります。
鍵盤の重さを均一に調整することで演奏時の安定感が増し、疲れにくくなります。
また、鍵盤間の差異がなくなるため、演奏の一貫性が向上し、より洗練された演奏ができるようになります。
音の安定と向上
整調により鍵盤やハンマーの位置や動きを正確に調整することで音がクリアになり、音量のコントロールがしやすくなります。さらに全体の音のバランスが整い、より豊かな演奏が可能となります。
年数が経っているピアノの場合は木製パーツの膨張と収縮、フェルトやクロスの劣化、鍵盤の使用による摩耗やアクション部品の緩みなどが発生していることが多いことから整調が必要となります。
整調を怠ると、ピアノの演奏性が低下し、大規模な修理が必要になる可能性があります。
そのため定期的な整調は、ピアノの長寿命と良好な演奏性を保つのに重要な作業となります。
Xでも作業風景を投稿しております♪
おはようございます☀
— ピアノリペア工房 (@pianorepairkobo) March 16, 2024
朝一は工房で鍵盤の高さを調整中
高さがバラバラだとタッチに影響が出るので、とても大事。
高さ調整に必要な丸いペーパーも新品に交換しつつ、88鍵全ての高さを揃えていく👍
とりあえず午後のピアノ調律に行く前に進めるところまで進めていきます🛠️ pic.twitter.com/9dEqddBM7Q