実家にあったピアノを簡易クリーニングで一通り修理、掃除してから納品したい!・・・ということで依頼を受けました。KAWAI No.48 のアップライトピアノ♪
大体50年前のピアノ。現在のネジはプラスネジが使われていますが、このピアノは昔に使われていたマイナスネジが使用されています。昔のピアノのほとんどは他の楽器屋で修理されているのが多く、プラスネジ、マイナスネジが混合していることがあります。
底板を外して弦を磨いていきます。錆も結構ありましたが断線している訳ではないのでこのまま中身を中心に綺麗に掃除していきます✨
底板を外し分解開始!
ペダルのバネ部分の雑音防止用ぼフェルトが虫喰いによって破損。この状態では雑音の原因になる可能性があるので新しいフェルトに交換します。
新しいフェルトに交換完了!
ペダルを踏む際にバネが周りの木に当たり、雑音の原因になります。この作業は底板を外した際にしか出来ない作業なので必ずする作業でもあります。
アクションの作業♪
今回は弦の溝が結構深いためハンマーの整形(ファイリング)を行う。
弦の溝が深いと音がうるさいだけで音が遠くまで伸びません。まだ卵型の形ですが放置してると先端が潰れて平になってしまいます💦
丁寧にファイリングを行います👍
ファイリングの仕方の違いでも、出来上がる音色は変わります。
ファイリングはハンマーヘッドの弦の溝を取り除き、形を綺麗にするまでの作業で、針入れやコテ当て、硬化剤、などを使用して音を造っていきます。
この後はアクションを本体に入れて針を刺していきます。ファイリングは「整音」作業の一部に過ぎないので、「ファイリングだけして針入れはしない」ケースだと音はバラバラになります。
鍵盤交換は表面のヒビ割れや欠けたときに行います。
今回は何か上から物を落としたのか鍵盤が欠けている。1本だけだったから良かったものの欠けた鍵盤が5本や10本だと大変だ💦
既存の鍵盤と新しい鍵盤は若干だが色が違うため1本ならそこまで気にならないが修理した本数が多ければ多いほど新しい鍵盤が目立ってしまう😒
なにより、メーカーによっては合わない鍵盤もある。
既存の欠けた鍵盤を剥がし、新しいのを付ける。剥がす際には木部に傷が付かないようにアイロンで熱し、ゆっくりとヘラを使って鍵盤を剥がしていく。
剥がし終えたら新しい鍵盤上面と貼り付けるのに必要な治具を用意して貼り付けていく。
鍵盤を貼り終えたら整調を開始。キャプスタンボタンを回し、一定の高さまで調整していきます。極端にボタンが下がっていると鍵盤のタッチに影響が出るため一つずつ確認していきます。
鍵盤深さ調整。鍵盤がどれだけ沈むかによって、ハンマーの動きはかなり変化します。深すぎたり浅すぎたりすると、連打がしにくい、二度打ちといった症状が出ます。
鍵盤深さの基準は10mm。ピアノによっては深さが変わる場合がありますが、今回は88鍵の鍵盤の深さを10mmで統一していきます。
ハンマーが弦に近づく距離の調整を「レットオフ」といいます。簡単に言うとハンマーがどれくらい弦に接近しているかという作業です。
この調整を88個の鍵盤でやっていきます。 低音部は3mm、中音部で2.5mm、高音部で2mmに調整していきます。 逆にこの「レットオフ」が0またはそれ以下やそれ以上になってしまうとハンマーが弦を押さえつけ音が止まったり、連打したわけじゃないのに音が二度打ちしてしまうことがあります。
整調の作業が完了したので、最後はパネルを組み上げる。K48の作業はこれで終了。あとはピアノを納品するのみである。