ピアノのオーバーホール作業②

フレームの取り外し作業

フレームを取り外すにはまず、弦が巻き付いてあるチューニングピンを取らなくてはいけません。

チューニングピンはピアノの機種によって本数が異なりますが、約230本近くあるので一本づつ取り外していきます。

弦一本につき80㎏の張力が掛かるように設計されているので、結構な力を入れていかないとチューニングピンは回りません。

とはいえ、機械を最初から使って取ろうとするとフレームの下にある木の板[ピン板]に余計な負担を強いることになるので、手動でゆっくりピンを取り外していきます。

取り外されたチューニングピン。

画像でも分かるようにサビがこびりついて茶色になっていますね。

この状態ではまともに使用できないため既存のチューニングピンは破棄し、新品を用意します。

どのみち、弦を張り替える場合は既存のピンよりも太めのチューニングピンを使わなければいけない。

同じ太さのピンを使うと音を保持する力[トルク]が確保できず、ちゃんとした調律が出来なくなるので、必ず太めのチューニングピンを用意します。

チューニングピンを全て取り外したら今度はフレームをクレーンで釣り上げて本体から分離。

これで事細かく本体の破損状況を確認することができます。

響板の修理作業

フレームを取り外した後、必ず確認しなくてはいけないのが響板の状態です。

ピアノの響板は、楽器の音を増幅し、豊かな響きを生み出す重要な部分。

スピーカーのような役割ですね。

そのため響板の材質や設計がピアノの音質に大きな影響を与えます。

一目確認して見ると問題ないような状態ですがよ~く目を凝らして見ると…

ヒビが入っている!!

赤矢印の部分。

綺麗に線が入ってますね。

古いピアノの場合、「もともと割れていなかった響板が、時間の経過とともに割れ始める」というケースも珍しくありません。

特に、長期間メンテナンスをしていないピアノでは、響板の劣化が進んでいる可能性が高い。

響板に亀裂や割れが生じている状態で新品の弦を張ると、ピアノの音質にさまざまな悪影響を及ぼします。主な症状として、

「音量の低下」「異音の発生」「調律の狂いやすさ」

の3つが挙げられますね。

響板のヒビや割れは、湿度変化、過乾燥、経年劣化によって引き起こされるため早急な修理が必要となります。

ヒビや割れがあった場合は適切な修理を行うことで、響板の寿命を延ばし、美しい音色を維持することができます。

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