フレームの再塗装

グランドピアノのフレームは、数百本の弦を支える重要な金属部品です。

長年の使用で塗膜が剥がれたり、錆や変色が進むと、美観が損なわれるだけでなく劣化の進行にもつながります。

そのため今回のようなオーバーホール時や外装修復のタイミングで「フレーム再塗装」を行うことが多いのです。

フレーム表面が酸化と錆の影響で変色しているのが分かりますね。

ゴールド塗装のフレームは錆が発生したり光沢が失われると古びた印象になり、ピアノ全体の美観を損ねてしまいますので、早速表面を剝離していきます。

演奏には直接影響がないものの、蓋を開けたときに目に入るフレームの劣化は所有者にとっては気になるポイント。

古い塗膜は剥離剤やサンドブラストで除去し、錆や凹みを研磨・補修していきます。

ある程度の凹凸やヘコミ部分を補修した後は…

専用の下地剤を塗って塗料が定着しやすいようにします。

ここで仕上がりの美しさと耐久性が大きく決まるため、もっとも丁寧さが求められる工程です。

塗装にはウレタンやエポキシ系の金属用塗料を使用し、吹き付け専用のスプレーガンで均一に施工します。ゴールド粉や艶消し仕上げなど、デザイン性にこだわることも可能です。

塗布後は温湿度を管理した環境で乾燥・硬化を行い、トップコートで光沢と保護膜を仕上げます。

今回のイースタインピアノの場合はベーゼンドルファーみたくして欲しいとのオーダーなので、赤を基調としたフレームに仕上げました🎵✨

施工後のフレームは新品同様の輝きを取り戻し、これで鏡面のような光沢が響板とも調和しますね。

屋根の蓋を開けた瞬間、見違えるような高級感が広がり、お客様にも施工が終わったフレームを確認していただくと「あのフレームがこんなに変わるなんて」と、驚きの声が寄せられました。

このようにフレームの再塗装は、単なる見た目の修復にとどまらず、ピアノ全体の印象を刷新する大きな効果を持ちます。

新品同様の輝きを得られるだけでなく、錆や劣化を防ぎ、ピアノの寿命を延ばす役割も果たします。

ピアノを次の世代へ受け継ぐための確かな投資ともいえるでしょう。

施工には3~4日間は要し、費用は内容や仕上げによって大きく変動しますが、外装美観の回復とともに耐久性も確保できるのが大きな利点です。

Xでも作業風景を投稿しております♫