響板の再塗装で音と輝きを取り戻す方法
前回はスピーカーの役割を持つ響板の修理(埋め木作業)が完了したので、響板の再塗装を始めていきます。
ピアノの心臓部ともいえる「響板」は、弦の振動を増幅して豊かな響きを生み出す重要な部分です。
しかし、長年の使用や湿度・温度の変化により、塗装がひび割れたり変色したりすることがあります。
見た目が損なわれるだけでなく、塗膜の劣化が音質に影響を及ぼすこともあるため、一定のタイミングで「響板の再塗装」を検討することが大切です。
再塗装の流れは、まず響板の状態確認から始まります。
変色や細かいひび割れであれば再塗装が有効ですが、大きな割れや反りがある場合は響板交換が必要になることもあります。
今回の作業は、ピアノを分解しフレームや弦を外したうえで、古い塗装を剥がし、研磨・下地処理を行ってから専用のニスで塗装します。
仕上がりの美しさだけでなく、音響特性を損なわないよう塗膜の厚さを適切にコントロールする職人技が求められます。

年数が経っているため表面のニスが若干黒ずんでいますね。
再塗装を始め前に塗装されているニスを剥離していきます。

ある程度、剝離し終わったら目の荒いペーパーから徐々に目の細かいペーパーで表面を削っていきます。
この作業を行うことで表面が滑らかになり、塗料が上手く付きやすくなります。

勿論、ロゴも新しいのに交換。
剝離した際に無くなったので改めて作り直しました。
結構時間が掛かりましたね。
ペーパーで滑らかになった表面にロゴを貼り付けます。

上手くいきましたね。
表面のイースタインが滅茶苦茶お洒落。
「音はどう変わるのか?」という疑問も多いですが、厚塗りによって響きがこもるリスクがある一方で、適切に仕上げれば音が明瞭になり倍音が豊かに響くことも期待できます。
再塗装後は調律や整音を併せて行うことで、より理想的な響きを取り戻せます。
費用の目安はグランドピアノで約4万〜15万円程度。
作業には塗装・乾燥・研磨・まで数週間から1か月ほどかかります。
響板に深刻な損傷がある場合は費用がさらにかさむため、工房での診断が不可欠です。
信頼できる工房を選ぶ際は、過去の施工事例や口コミを確認するのが安心です。
どんな塗料を使うか、仕上げ方法の説明が丁寧かどうかも判断材料になります。
再塗装後の響板を長持ちさせるには、日頃の湿度管理が欠かせません。
理想は50%前後を保ち、必要に応じて加湿器や除湿機を活用するのがベストです。

ということで、表面にホコリが付かないようにカバーを掛けます。
響板の再塗装は、外観を美しく蘇らせるだけでなく、ピアノ本来の豊かな響きを取り戻す大切なメンテナンスです。
「音がこもる」「見た目が気になる」と感じたら、まずは専門工房に相談して現状を診断してもらうことをおすすめします。
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in工房
— ピアノリペア工房 (@pianorepairkobo) April 13, 2025
イースタインピアノの響板塗装🎵
再塗装することで響板材の腐食を保護しつつ、美観を蘇らせます✨ pic.twitter.com/yIEaUSIlH6