古い歴史を持つ国産ピアノ

お客様から「孫にピアノをプレゼントしたいので、修理して欲しい」と胸がほっこりする修理依頼を承りました。

ということで、修理予定のピアノを確認…

とても歴史を感じさせる クラシカルな佇まいをしているアップライトピアノ。

昔ながらのカシュー塗装で仕上げられており、深みのある懐かしく、ぬくもりを感じさせる外装。

勿論、鍵盤は象牙

今では珍しい鍵盤を持っているこのピアノは「福山ピアノ」という、かつて日本にあったピアノ製造メーカーで作られた本当のMADE IN JAPANのピアノ。

福山ピアノという会社は明治33年頃に創業者の福山松太郎さんが「福山オルガン製作所」を立ち上げ、オルガン造りから創業したピアノメーカーと伝えられています。

1900年といえばヤマハ(かつては日本楽器と呼ばれてました)によって第一号機の純国産(部品全てが国産)のアップライトピアノが製造された記念すべき年でもありますね。

この時期に同じく創業していたという物語があります。

戦前はドイツの巨匠ハインリッヒ・ウェルクマイスターを技術顧問に迎え、自社のピアノ造りに心血をつぎ込んだ歴史ある会社として知られています。(調律師業界では特に)

そのためフクヤマピアノもドイツのピアノを参考に製造されたピアノがチラホラあります。(当時は本場のピアノを元に作っていたということが普通にありました)

しかも全盛期には最大で16種類のブランドピアノを製造していたそうな…

また、歴史あるピアノには調律の記録カードや製造番号等が本体に無かったり、記載されているのはほとんどありません。

今回のピアノも当然というべきか製造番号や記録カードの類は見当たりませんでした。

本来はフレームに番号とかが書いているんですけどね…ロゴしかない。

はっきりした製造年はわかりませんが、お客様曰くおそらく1955年(昭和29年)頃のピアノと教えて頂けました。

ということは約70年前のアップライトピアノとなりますね。

初期中の初期に製造された可能性が高い。

これだけ年数が経っているピアノの場合は消耗している部品が限られていることが多く、最悪自分で部品を作成しなくてはいけません。

慎重に交換すべき部品なのか、そうでないか確認しながら修理作業を進めていきます。

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