後編開始!!

弦を張るにはもう少し下準備に時間が掛かります。

まず最初に「ピンブロック」を本体に打ち込んでいきましょう。

張弦準備(後編)

「ピンブロック」は丸い木製の部品。

チューニングピンをしっかりと保持し、音律が狂わないようにサポートする部品です。

ピンブロックがあることで、弦のテンションが保たれ、ピアノ全体の音質が安定します。

弾いてる際はあまり気にならない部分でもあり、視界に入ることもない部品なため「どこに使っているの?」とよく聞かれます。

という訳で、画像を編集して青い矢印を付け加えます…

青色の矢印を付け加えました。

これがピンブロックとなります。

新品のピンブロックに交換することでピアノの音律は長期間安定します。

逆にピンブロックが劣化して割れたり、色が黒くなっているとチューニングピンが緩みやすくなり、音が狂いやすくなります。

ピアノのにとってピンブロックは重要な部品であり、特に高音域の繊細な音を保つためにはちゃんとしたピンブロックが必要です。

特に昔に製造されたピアノは湿気や乾燥によるダメージでピンブロックが割れたり、弦の張力が失われたりする場合が多いためピンブロックの交換が必要になります。

ちなみに修理前のピンブロックを確認できるのはこちらから👈

ピンブロックの交換作業が終えたら今度は新品のチューニングピンを打ち込んでいきます。

一目瞭然ですが、左が新品のチューニングピン。右が既存のチューニングピンとなります。

サビついてる状態だと美観が損なわれるし、何より纏わり付いているサビが原因でチューニングピンが緩くなり、音律が不安定になります。

そのためオーバーホールをする際は必ず交換する部品でもあります。

交換する際は同じ太さのチューニングピンを使用するのではなく、一回り太いチューニングピンを用意しなくてはいけません。

同じ太さの物を使うと緩くなってしまい、音が安定しなくなってしまうからです。

元々のチューニングピンの太さが6.90mmだったので、今回は7.1mmのチューニングピンを用意します。

チューニングピンがぎゅうぎゅうに詰まった箱。

表記には7.1×64と書いてありますね。

64はチューニングピンの長さを表しており、ピアノの機種や製造された年代によっては長さが違うことがあるので、ちゃんと確認しなくてはいけません。

ということで、チューニングピンを本体に打込み、下準備が完了しました。

あとは弦を張るだけとなります。

前編と後編となりましたが、この下準備がとても大切。

チューニングピンとピンブロックがしっかりしていないと、ピアノの個体が持つ理想的な音色を引き出すことができなくなってしまうため両者は密接な関係にあります。

ピンブロックやチューニングピンは譜面台やパネルがあると普段は見えない部品ですが、どちらも弦の張力を保つために非常に重要な役割を果たしています。

チューニングピンとピンブロックの状態が悪いと、調律が安定しないだけでなく、ピアノ自体の寿命にも影響を与えることがあるので、気になる方は担当の調律師さんに確認して貰うのが良いでしょう👍

ちなみにピンブロックやチューニングピンを交換していない中古ピアノの場合、保管環境やメンテナンスの頻度にもよりますが、どちらも劣化しているため音が狂いやすいのが多く、注意が必要です。

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