前回の続き→ YAMAHA アップライトピアノ U2 アクション引き取り修理作業②
スティック修理
ピアノの動作不良には色々な原因があります。ピアノが置いてある環境によりますがクロスやフェルトが膨張して鍵盤の動きが極端に悪くなったり、今回のように動作機構の軸部分「センターピン」の動きが極端に鈍くなると動作不良は起きてしまいます。
動画でも分かるように動きが鈍くなっていますね。この状態でピアノを弾こうとするとハンマーが手前に戻らず、次の打弦が出来なくなってしまう状態がでてしまい、連打性能に影響が出たり最悪弾けなくなってしまいます。
この状態を改善するには軸部分の「センターピン」を交換し、動きをスムーズにします。
赤い矢印は「既存のセンターピン」。青い矢印は「新しいセンターピン」になります。
「センターピン」にはサイズが多々あるため適切なサイズの「センターピン」を厳選して交換していきます。
動きがスムーズになりましたね。これで動作不良が起きる心配はなくなりました。あとはこの交換作業を87回繰り返していきます。
・・・が今回はこの「センターピン」の交換作業に加えて「フレンジコード」の交換作業も並行して行っていきます。
少し茶色くなっているのは既存の「フレンジコード」。右の真っ白な「フレンジコード」は新品の「フレンジコード」になります。
今回はそこまで劣化していませんが、交換しないままでいると切れてピアノが弾けなくなる場合があるので「スティック修理」をしながら新品に交換をしていきます。
そして最後は「ブライドルテープ」の交換作業。この作業も「センターピン」、「フレンジコード」と一緒に新品に交換していきます。
ちょっと見づらいですが左の真新しいのが「新品のブライドルテープ」。右の少し茶色のが「既存のブライドルテープ」になります。
一見、綺麗に見えますが左の「ブライドルテープ」の先端の赤い部分が割れているのが確認できますね。
ここの部分が破損しているとその部分から千切れて動きが悪くなったり、ピアノを弾く時に雑音が出てしまう場合があるため新品に交換していきます。
今回のように一度に三か所を並行しながら修理するのは滅多にしかありません。
本来は一つ一つの工程に分けて作業を行います。
動いていれば特に問題はないと見落としがちですが、ピアノに使われている部品は年を跨ぐごとに劣化するし、使用頻度が高ければ部品の劣化は早くなります。
部品の交換の有無を確認をするためにも定期的なメンテンナンスと調律が必要になります。