ある日のグランドピアノの調律作業中、弾くたびに異音が出ている鍵盤が何本かあった。
お客様にもこの異音を確認したところ、どうやらC5の調律作業をする前から異音が出ていたそうだ。
今回の異音の原因を確認するために当初予定していた約束の時間よりも+1時間、時間を頂いて異音の原因を探ることに。
ピアノの作業において、異音の原因を探るのが一番時間が掛かります、特に金属音の雑音。
厄介なのはピアノ本体に使われている部品に共鳴しているのではなく、ピアノの近くに設置してある時計や消音装置のスピーカー、エアコンの金属部品etc…挙げたらキリがありませんが周りの設置物に音が共鳴して雑音が出ているのがとても時間が掛かります。なぜなら原因を特定しなくてはいけないので、一つ一つ探りながらの作業になるからです。
それでは今回の異音は何なのか?鍵盤を打鍵して確認してみます。
さて、打鍵する度に「カチッカチッ」と異音が出ているのが聞こえます。金属音の雑音の場合は「ジーッジーッ」と金属と金属が触れ合っている音が出るため金属音の雑音ではないのがこの時点で確定したので次はピアノ内部を確認していきます。
内部を確認したところ特にネジの緩みや部品が取れている訳でもなく、いたって普通通り……ではありません。普通じゃないから異音が出ているので、さらに原因を究明していきます。
ここまで確認して部品の緩みや接着不良でないのなら鍵盤そのものに異常があるということになります。
という訳でアクションを引き出して鍵盤を取り外します。
異音が出ている鍵盤を取り外し確認中。
周りの部品と同じく鍵盤そのものに異常はない。しかし、赤い矢印部分が若干だが汚れている。
たまにだがこのキーホール(鍵盤の軸)部分にゴミが溜まると異音が発生する場合がある。
万が一の可能性もあるのでこの部分を綺麗に掃除し、もう一度鍵盤を組みあげる。
掃除も完了し、もう一度打鍵。すると……
異音がなくなりました!!
どうやら今回はこの部分に溜まった埃やゴミが原因で異音が出ていたということになります。原因が分かってホッと一息。
定期的なメンテナンスでもあるピアノの掃除、本体の確認+調整が雑音低減に寄与するというのが良く分かる作業でした。
これらの掃除+調整作業を実践することで、ピアノの雑音を最小限に抑え、美しい音楽体験を追求することができます。演奏者や愛好者の皆さんにとって、これらのヒントがより豊かなピアノの世界を広げる手助けとなることでしょう👍