定期調律+ピアノ本体のメンテナンスのため年に一回はお伺いしているお客様の所へ。ピアノはカワイのアップライトピアノ K35🎹

鍵盤には当時、象牙の代用として使われていたセルロイドが使用されているピアノなので結構年季が入っているアップライトピアノだ。

ピアノ調律師は調律をする前に試弾をし、何か違和感がある部分があるか確認する作業があるのだが、今回は鍵盤が戻らない部分や動きの鈍い鍵盤が数本確認できた。

画像を見ると矢印の鍵盤が元に戻らないのが分かる。この状態で弾こうとしても弾けないので、何が原因なのか調べる必要があります。

ピアノ鍵盤の問題は様々ですが、まず最初に鍵盤の動作に関する兆候を確認。この不具合は以下のような症状が考えられる。

①異物による鍵盤の動作不良

鍵盤が正常に動作しない場合は、異物が鍵盤の側面や下に詰まっている可能性があります。プラスチックや楽譜に文字を記入する際に使った鉛筆の芯やシャーペンの芯。鍵盤を外してみて不要なものがないか確認します。

②弦の断線

弦が断線している状態で打鍵すると、たまに切れた弦にハンマーが引っ掛かり、音が出なくなる場合があります。

③ハンマーの動作不良

ハンマーの動作不良が原因で正しく動作していない可能性があるため鍵盤が戻らなくなる場合があります。ハンマーが適切に動作をしてるか一度確認し、必要に応じて調整しなくてはいけません。

④キークロスの膨張

鍵盤の軸となるフロント/バランスキーピンをガイドするクロス部分が膨張して鍵盤が元の位置に戻ららず、正常に動作しない場合があります。その際は専用の工具でクロス部分を調整していかなければいけません。

⑤鍵盤のキーピン部分の錆

鍵盤軸となるキーピンに錆が発生し鍵盤がその錆に引っ掛かって元の位置に戻らなくなる場合もあります。鍵盤が引っかかる、キーピンに問題がある場合は鍵盤を取り外して確認し、必要ならばキーピン表面を磨いて改善することもできます。

まだまだ色々問題例はありますが、鍵盤の不具合の原因としては大体上記のような症状が出るのが多くあります。

ちなみに①~⑤を一つ一つ確認したところ今回の動作不良は④番目のキークロスの膨張が原因なのが判明しました。

今回の原因がキークロスの膨張となるとピアノを設置している環境が寒暖差の激しいところ、高温多湿のところに置いてあるのが原因と考えられますので、季節に合わせて環境とピアノの調整を整えなくてはいけません。

とりあえず今回はここまで。次回は鍵盤の調整作業になります👍