整調の基本概念
ピアノの整調は、楽器の音質や演奏性を最適な状態に調整するプロセスです。主な目的は鍵盤の反応とそれに付随する動作機構が均一であるのを確保することです。整調を通じてピアノは本来の美しい音色を発揮し、演奏者が感情豊かな演奏を可能にします。また、整調はピアノの寿命を延ばし、ピアノ本体の状態維持を保つためにも重要な作業です。
整調をする前にピアノの現状把握
ピアノ整調で大切な事はピアノの現状を正確に把握すること。鍵盤の動作不良に音量の有無など、お客様宅において具体的な問題点を洗い出すことが重要になります。ピアノ全体を注意深くチェックし、異常な振動や共鳴、鍵盤の動作確認をすることで整調に必要な工程を計画的に組むことができます。
現状把握は済んでいるためこのまま預かった鍵盤を本体に組み込んで、中の調整作業を開始。
整調作業は本体に備わっている動作機構が適切な状態へするための作業なので時間を掛けて行わなければいけません。
音の調整「調律」とピアノのメンテナンス「整調」の違い
音の調整作業でもある「調律」は主にピアノの音程や音色を整える作業を指します。一方で、ピアノのメンテナンス「整調」は内部の機械部分や木部部品の調整を指し、音程や音色を整える「調律」とは異なる作業です。「調律」が音に焦点を当てるのに対し、「整調」はピアノ全体の健康状態を維持する役割を果たします。
木部部品の位置、間隔がちゃんと揃っているのかを一つ一つ確認して部品そのものが適切な位置になるように調整していきます。
整調の必要性とタイミング
気温や湿度の変化はピアノ本体に影響を与え、特に季節の変わり目や湿度の急激な変動時に整調が必要になります。ピアノの調整変化を理解し、適切なタイミングで整調を行うことで安定した音質、動作を維持できます。
また年数が進むにつれ、木部部品や機械部品が劣化し、動作や鍵盤のタッチ等が不安定になる傾向があるため古いピアノほど定期的な整調が必要となります。
上記のように季節の変わり目に整調するのがベストですが、今回のような現地での簡易クリーニングする際にまとめて整調を行うのが理想的です。
鍵盤調整
演奏者が楽譜通りに表現できるために鍵盤のタッチを均一にすることは基本中の基本です。整調では、各鍵盤の押し下げる力や鍵盤の戻り具合を均等に整え、演奏者が安定して表現力豊かな演奏ができるよう調整します。
鍵盤の動作を確認し、不具合がないかを慎重に調べます。鍵盤の重さや動きの違いが演奏の妨げにならないように、調律師は鍵盤の動作を微調整し、適切なタッチを実現します。