圧着してから1日経ったので、ピアノ本体とピン板の接着状態を確認します🔍

一旦、圧着のために使っていたクランプは外しましょう。

接着面の隙間からも結構な量の接着剤がはみ出ておりましたので、圧着はしておりました👍

あとは響板の割れがある部分の修理をしていきましょう。

100年近く経っている木材なのでこのような状態になるのは仕方ありません。

故に響板割れ修理を開始🛠️

まずこの響板の割れ修理には「埋め木」と呼ばれる細長いスプルースを使っていきます。

木材だったらなんでも良いという訳でなく、木材の種類にも適材適所というものがあります。

今回のメイン修理に使った「ピン板」は音の保持力を維持するために特化した木材。材質が堅く、加工するのに時間が掛かるが一番重要な所に使われやすい木材になります。カエデやブナとかですね。

対して響板に使われている木材は比較的加工しやすく、音が伝わりやすいスプルースが使われています。

そのため、補修用に使う埋め木も出来るだけ響板と同じ素材を選ばないと音に影響が出るので、率先して同じ素材でもあるスプルースの埋め木を使っていきます。

まぁ、メーカーによってはベニヤを使っているピアノもありますが🙂

勿論、補修用の埋め木をそのまま響板割れ部分に直接入れるわけでなく、埋め木がちゃんと入りやすいように専用の工具で少しづつ割れ部分を広げていきます🪛

広げてく際は真っすぐ線を引くような形で溝を作っていきます。

響板割れはどれくらい隙間が出ているのかで補修内容は変わります。

今回の響板割れは比較的まだ安全圏といったところでしょうか。

しかし、このまま放置して響板割れがひどくなると向こう側が見えるぐらいまで広がってしまいます。その際は、埋め木ではなく割れてる部分を削り落として新しいスプルース材を嵌め込む作業となります。

埋め木の補修作業より時間もコストも掛かる作業になってしまうのです💦

元々響板というのは音を広げるためのスピーカーのような役割を持っている部分なので、向こう側が見えるぐらいまで広がっている割れが生じているということは、音の伝達力はほぼ無いと言っても良いでしょう。

なにより響板割れで出る問題は音の伝達力の他に雑音が生じるという点です。

木と木が擦れあっているような結構気になる雑音が出るのが多く、現地での雑音修理はとても難しい💦

弦が張っている状況ではせいぜい接着剤を流し込むといった応急処置しかできないことがほとんどですが、あくまで応急処置なので直したことには入りません。

そのため、直せる状態と状況であれば今回のように直していきます。

上の画像は埋め木を圧着している作業になります。

割れている部分を広くしてその溝に接着剤を流し込み、埋め木を圧着します。

埋め木の形は二等辺三角形の埋め木になりますね。

その埋め木の上から小さいハンマーで均等に打ち込んでいき、打ち込みが終わったら均等に圧が掛かるようにしていきます。

溝から接着剤が漏れ出るぐらいがちょうど良いです😄

ピン板の接着と同じく、圧着が終わるまで一日放置。

翌日には圧着状態を確認し、ちゃんと接着されているなら余分な部分を削り取っていきます。

本来なら響板に付いている元のニスを剥離してから行う作業ですが、今回の修理は響板の塗装は作業依頼には含まれていないため既存のニスがある状態で響板割れ修理を行いました👌

まだまだ、作業は続きます。

ではでは~👋