駒の割れ修理も無事終わったので、今回からはこの大正ヤマハのメイン修理となる『ピン板交換』作業を開始します😊

前の記事にも書いたようにオリジナルの「ピン板」よりも少し大きめのピン板が届きました。

『ピン板交換』の作業は必ず「ピン板」そのものを加工しなくてはいけない作業なため、必然的に本体を削っていきます。

つまり、もし加工中に削り過ぎても何とか軌道修正できるように大きめの「ピン板」が届くようになっております。

幅、長さ、厚さがオリジナルと同様の「ピン板」だったら早く交換は出来るのではないかという意見もありますが、同じ状態の「ピン板」を頼んで、いざ作業をするとフレームと合わなくなることは結構あるので中々そう簡単にはいきません💦

私も何台も『ピン板交換』の作業はしていますが、この手の作業はピアノの個体によって決まります。

というよりもピアノの構造やフレームの形によって『ピン板交換』の工程順序は変わると言ってもいいかもしれません。

フレームには二種類あります。

「ピン板」がフレームに隠れて見えない見慣れているタイプの「総鉄骨フレーム」の「ピン板」か、逆に「ピン板」が剝き出し状態の「半鉄骨フレーム」の「ピン板」か。

今回は「ピン板」がフレームに隠れて見えない、見慣れているタイプの「総鉄骨フレーム」なので、既存の「ピン板」とピアノ本体に取り付けるための穴の位置を測定してから新しい「ピン板」にその穴の位置を書き写していきます。

この青い丸がピアノ本体に取り付けるためのネジ穴ですね。

これと同じ位置の印を新しい「ピン板」に着けていき、フレームを「内リム」に固定して確認していきます。

ちなみに「内リム」とは赤く囲っている部分です。下の画像になります。

ココとフレームを固定した状態で、新しい「ピン板」の位置を確認したほうが場合によっては早く作業が進みます。

以上のことを踏まえた上で新しい「ピン板」とフレームの位置の調整を行います。

全体の形を整えるのは時間が掛かるという理由で片方だけ削って無理やり合わしてしまうとピン板そのものの位置がおかしくなり、下の赤丸部分に当たって音が詰まったり、ピアノ全体のバランスが悪くなる可能性があります。

ピアノの耐久力や弦の保持力にも影響を及ぼすので横着な作業は絶対にしてはいけません。

という訳でピアノ本体に取り付けるための穴あけ作業から始めます。

新しい「ピン板」に大まかな印を付けたらフレームをおろして位置を確認。

その状態から全体的なバランスを確認していきます。

画像を見て頂ければ分かるように「ピン板」には無数のネジ穴が密接な状態で開いております。

つまり穴を開ける位置を間違えたりでもしたら、もう一度最初から作り直しということになるのです。

考えただけでも恐ろしい・・・

位置が決まったら「ピン板」を取って、ちゃんと垂直に穴が開くように専用の工具を使って作業を行います。

この「ピン板」の位置の確認作業は最初の工程で一番重要なので何度も確認します。

ピアノ本体に接続するための穴開け作業が済んだら次は『ピン板合わせ』作業を行います。

この『ピン板合わせ』が特に時間の掛かる作業ですので、次回はその作業を載せていきたいと思います👌

ではでは🙇‍♂️