それでは、U3Hのクリーニング作業も今回で終了となります。

最後の作業は『調律』と『サイレントの取り付け』作業となります。

クリーニング修理作業で工房に入ってくるピアノのほとんどが長年メンテナンスされていない状態のピアノが多いので、お客様のご自宅に納品する前に音を整えておきます。

『調律』をする際は音を整えていくのは勿論ですが、一つ一つ音を聞いてる時やオクターブで唸りを確認するだけでなく異音や粒が揃っているかも確認しながら『調律』を行います。

たまに音の粒が揃っていない時があるので、その場合は針を刺したり硬化剤を塗って音の粒を揃えていきます。

このピアノの場合は10年近く間隔が空いていたので2回音を引き上げました。

メンテンナンスや調律をしていない期間の空きがあればあるほど音が下がっているのは多いですね。

その分、調律の回数も多くこなさなければ音は止まりません。

とりあえず、『調律』作業はここまで。

次は『サイレントの取り付け』作業となります。

音を出さないピアノにするために必要な部品を取り寄せます。

メーカーは色々ありますが今回は「Classic V2」と呼ばれる消音ユニットを取り付けていきます🛠️

まず部品が全て有るか確認し、鍵盤やアクション等、組み上げた部品を一度取り外していかなくてはいけません。

何故なら鍵盤の下にセンサー類を設置したり、アクションにアルミのレールを取り付けていかなくてはいけなのです。

この本体に取り付けるセンサーは打鍵時に下がってきた鍵盤を捉えて音出す仕組みになっております。

現在はこのようなセンサーで音を出すタイプですが、昔のサイレントは非接触のセンサーでなくプラスチック製の部品に当たって音を出す接触式のタイプでした。

そのためよく接触式のタイプだと打鍵時に鍵盤が当たるので雑音の原因になるのがしばしばありました💦

なによりサイレントの部品が昔は一つ一つの部品が大きかったためピアノ本体重量が更に増えて物凄く重くなっていました。

それに昔は画期的でしたが、ピアノ本体に縦と横の長さが30㎝程の基盤がピアノ本体の中にぶら下がっていましたね。

現在はテクノロジーが発達したので、基盤だけでなく他の部品も小型化され、最低限の量だけで機能する形になったのです👌

センサーの配置を大まかに決めて、センサーレールを本体に取り付けます。

そのあとは鍵盤が下がった際に適切な高さになるように微調整を行い、配線を繋いでいきます。

組み上げた際にパネルの邪魔にならないよう配線位置を決めます。

本体の配線接続が終わったら今度はペダルのセンサー類の取り付けと配線を行います。

ピアノによっては加工が必要になるので注意しながらセンサーを取り付けていきます。

よくあるトラブルは下のパネルを付けようとしたら左ペダルのセンサーと当たって雑音がするなど...😥

ペダルセンサーの取り付けと配線が終わったら、今度はアクションのサイレント時に音が鳴らないようにするための「ハンマーストップレール」を取り付けます。

このアルミのレールが手前になることでハンマーが弦に当たるのを防いで音を鳴らなくします。

作業自体は最初から調整をやっていたので1日で終わりますが、メーカーによっては2~3日は掛かることがあります。

あとはアクションを取り付けて音漏れがないか確認します。

これで今回の『調律』と『サイレントの取り付け』作業は終わりました。

あとはパネルを組んでピアノが出庫するのを待つだけです👍

⑯まで続きましたが、ご覧いただきありがとうございました🙇‍♂️

次回からはまた別の作業記録を更新したい思います👋