アクション内部の部品交換作業が終わったので、次はハンマーの整形作業を行います。
順序としてはピアノの整調を済ませて最後の調律をしてから作業を行う場合もありますが、中の整調を行う前に作業をする場合もあります。
ハンマーは羊毛を圧縮した部品なため、触ると結構硬い部分になりますが何度も打鍵したハンマーは弦の溝が付いていることがほとんどです。
ほんの少しの溝であれば別に最後の調整時にハンマーの整形作業を行いますが、弦の溝がくっきり付いているハンマーだと正確な整調ができず、ピアノ調律時に打鍵した際に「バツッバツッ」等の異音が出てきてしまう時があります💦
ハンマーの整形作業はハンマーを削って弦の溝を無くす作業なので、既存の状態のハンマーのサイズから若干小さくなります。
あまり弦の溝が付いていない場合のハンマーでしたらそこまで影響はありませんが、弦の溝がくっきり付いていたり、ハンマーの形そのものが見慣れた卵形ではなく、台形になっているハンマーがあります。
その状態でハンマーと弦の距離やハンマーが打鍵した際に如何に弦に近くまで接近できるかという調整作業を行った後にもう一度ハンマー整形を行うと「二度手間」な作業になることがあります。
それを回避するため弦の溝がくっきり付いているハンマーや形そのものが変わっているハンマーは整調をする前にハンマーの整形作業を行います。
ちなみにハンマーの整形作業は真っ直ぐ削っていかなくてはいけません。
ハンマーを斜めに削ってしまうと本来の音量に影響が出てしまいます。
低音部、中音~最高音部によって弦の本数は違います。
例で上げるなら、とある中音の弦の3本中2本しか弦に当たっておらず、隣のハンマーは3本中3本の弦を打ってるため前述のハンマーの音が小さいという不具合が起きてしまいます。
そのため、ハンマー整形を行う場合はちゃんとハンマーの形が真っ直ぐになるように確認しながらハンマーを削っていきます。
しかし、この作業は一回きりの作業です❗
削った分のハンマーのフェルトは元には戻らないので注意が必要です。
なにより、ハンマーの大きさが変わるということはハンマーそのものの重量が減っているので、タッチにも影響が出てしまいます。
これはアップライトピアノ、グランドピアノのどちらにも言えることなので、全てのハンマーが均等なサイズになるよう、慎重に作業を行います👌
ハンマーの整形が一通り終わったら、削ったことによって毛羽立っている部分をアイロンでなめしていきます。
あまりアイロンを当てすぎると焦げるので手早くなめしてかなければなりません🙂
ハンマーに関係している作業は他のやり直しがつく作業と比べると全体的に気を遣いながら行います。
ハンマーの整形作業が終わったら次は音を整える『整音』作業を行う…ところですがその作業は本当に最後の作業になります。
調律していない状態で『整音』をしてもしょうがないので、次回は中の調整作業を開始👍