アクションの動作不良準備
茨城県にお住まいのお客様からの修理依頼
昭和50年近くに製造された東洋ピアノのアップライトピアノ
お客様から
「打鍵するときや連打をすると音が出ない」ということで…
内部の状況を確認してみるとハンマーが手前に戻らず、奥で留まっているのが多々あります。
これはハンマーの軸部品で使用されている「センターピン」と「クロス」部分の摩擦が原因の動作不良。
金属部品の「センターピン」と布部品である「クロス」
特に問題がなければハンマーがスムーズに動作しますが、もし金属部品の「センターピン」が錆び付いていると「クロス」との摩擦により動作が鈍くなり、また「クロス」部分の布が空気中の水分を余計に吸収し、膨張してしまうと動きが悪くなってしまいます。
何より動きが悪いと演奏も出来ませんし、まともにピアノを調律することも難しいため早急に修理をしなくてはいけません。
1~8箇所ぐらいであれば、その場で部品交換をすればなんとかなりますが20箇所、50箇所となると現地での修理作業は難しくなります。
その場合は一度確認してからどのような作業の流れになるか予算はどのくらいになるかをお客様と相談しながら計画を立てていきます。
今回は1~88本全てのハンマーがスムーズに動いていないため内部機構(アクション)を車に積んで工房内で修理することになりました。
経年劣化した交換作業
アクションを工房に持ってきたら早速確認。
どれくらいハンマーが動いていないか把握していきます。
動作不良のハンマー
やはりスムーズにハンマーが動いていませんね…
経年劣化でボロボロになっている部品を交換しつつ、軸部品の「センターピン」を交換していきます。
「センターピン」は直径(番手)が19~24と幅広くあるため「クロス」と合う「センターピン」を合わせていきます。
「クロス」と「センターピン」が合わないと打鍵時にハンマーが左右にブレて音質に影響が出てしまったり、交換前と同様に動作が変わらず、スムーズに動かない場合もあるため「センターピン」を交換する際は慎重に交換しなくてはいけません。
修理後のハンマーの動き
スムーズに動きますね。
これで動作不良は解消されました。
また、「センターピン」の交換だけなく、他の部品も交換したりネジを増し締めして雑音をなくしたり、内部に溜まった埃を除去したりなど、手を加える部分は多々あります。
内部の修理作業と清掃作業が終わったらお客様の希望で錆で酷くなったヒンジ(丁番)も交換。
劣化したヒンジだと譜面台が勝手に開いてしまい、鍵盤に当たったり、譜面台の表面に傷が付いてしまうため新品に
一つ一つ手を加えて理想的な状態までピアノを元通りにしていきます。
lu101の修理と並行しながら作業していたアクション修理も完了。
— ピアノリペア工房 (@pianorepairkobo) July 7, 2024
修理前は動作不良が多発してハンマーが自然に戻ってこない💦
まともに弾けない状態だったので部品交換をし、動きをスムーズに。
午後からはアクションを車に積み、現地で調整作業に入ります👍 pic.twitter.com/TcIP8alcek