「センターピン」。言葉だとなんてことはない部品の名称に聞こえますが、実を言うとこの部品はピアノが正常に稼働するのに重要な役割を持っています。何故この部分が重要なのか説明していきたいと思います😊

よくピアノの音が出ない、鍵盤が下がったまま戻らないという事例があります。原因は多々ありますが本来ハンマーは弦を叩いたら手前に戻り、次の打鍵に備えますが上記の画像のようにハンマーが所定の位置に戻らず、そのままの状態になっているとピアノが弾けなくなる現象が起こります💦

この現象は我々の業界で「スティック」と呼んでいます。鍵盤を押した動きを伝えるアクションに不具合や動作不良が起こって正常な動きをしていない時に使う言葉です。(例で言うなら鍵盤を押すと戻る時と戻らない時がある、打鍵した際に鍵盤が重く感じる等・・・)

ピアノは木材にクロスやフェルト等を主に使っている楽器なため、設置している環境や天候による影響でそれらの部品が膨張、収縮を起こして動作不良が起こります。

その際は動作不良が起こっている部分を調べて名称を使い分けています。

(例:鍵盤のスティック、ハンマーのスティック、ジャックのスティック、ウィペンのスティック、ダンパーのスティックなどなど・・・)

ちんみにこの「スティック」が起きている部分を直すにはパーツによっては異なります。

「鍵盤のスティック」の場合は鍵盤の軸になる金属の錆とかが原因だったり、鍵盤の中にあるクロスが膨張して動きが悪くなることが原因で起こります。

この場合は金属を磨いて滑りを良くしたり、膨張したクロス等を専用の工具で収縮させて動きを良くしたりします。

じゃあ、「センターピン」はどこで使っているのか?「スティック」と呼ばれる現象に関係しているのか?

勿論、関係しております。

実を言うとこの「センターピン」はアクションの回転運動の軸になる部品の名称です。ピアノはこの回転運動の部品が集まって動いているのです。

下の画像の赤い丸で囲った部分。

ここが「センターピン」と呼ばれる部品です。太さは0.25mmづつで10種類ほどあります。

回転運動の軸になる「センターピン」

なんと一台のピアノのアクションには300本以上はあります❗

さて、「センターピン」は勿論金属です。しかもその周りを覆っている赤い丸はクロスとなります…

そうなんです。

鍵盤と同様、クロスが膨張、収縮が繰り返し起きて「センターピン」とクロスの摩擦が高くなって動きが悪くなったり、「センターピン」そのものが錆びて動きが悪くなってしまうことが挙げられます。

また、1本や2本程度だったら約300本中1~2本なので簡単に修理できますが、これが20本~50本、60本~100本になると時間が物凄く掛かってしまい、現地での修理は難しくなります😂

その際はアクションを工房に持って行き、3日ほど時間を掛けて交換作業を行います。

ちなみにこの参考となっているピアノのセンターピンは全交換しました。

全交換となると新しい「センターピン」を用意しなくてはいけません。

一つの袋に100本ほど入っている袋を3つほど用意し、これで準備は万端です👍

次の投稿内容は「センターピンの交換作業風景」を載せていきたいと思います。

それでは、また👋