今回はお客様宅で作業をするには時間が掛かるため鍵盤とアクションを工房へ持ち込み、修理作業を開始します。摩耗した鍵盤のブッシングクロス交換とアクションの部品の交換作業となります。

鍵盤ブッシングクロス交換の重要性

鍵盤ブッシングクロスは、ピアノの鍵盤が正確かつスムーズに動作するための重要な部品です。この部品が劣化すると、演奏者は正確な鍵盤にタッチを失い、演奏の快適さに支障が出てしまいます。これはまさに鍵盤タッチの心臓部とも言える部分で、その状態が演奏の品質に直結します。なぜなら正確な響きや奏法は、まず正確な鍵盤の動作から始まるからです。今回は鍵盤ブッシングクロスの役割とその重要性について詳しく解説します。

鍵盤ブッシングクロスの役割

鍵盤ブッシングクロスはピアノの鍵盤の中でタッチと響きを制御するための重要な役割を果たしています。これは鍵盤の上下運動をスムーズに調整し、同時にクロスによる適切な抵抗力が発生することで奏者が意図通りの表現をするのに欠かせない要素でもあります。故にその機能が正確であるかどうかはピアノ演奏の快適さに直結します。

そのため鍵盤ブッシングクロスが適切に機能しないと雑音や鍵盤の動きにムラや不安定さが生じてしまい、演奏者の技術や表現力が制約されてしまいます。

なぜ定期的な交換が必要なのか

鍵盤ブッシングクロスは時間と共に劣化や摩耗が進みます。特に頻繁に演奏される箇所では顕著に表れます。クロスの定期的な交換が必要な理由は劣化が進むと鍵盤の動きが不安定になり、隣の鍵盤に当たって雑音等や異音が発生するからです。

鍵盤のクロスを交換する際は蒸気を当てて既存のクロスを剥がしていきます。

蒸気が結構出るので注意が必要です。

また定期的な交換をすることでピアノの演奏において一貫性のある安定した状態を維持できるので必要不可欠な作業でもあります。鍵盤が摩耗している状態で左右に振ってみると鍵盤が大きくぶれるので、この劣化したブッシングクロスの状態ではピアノ使用者に不快な感触を与え、音色や演奏の精度を低下させる可能性があります。

蒸気によって接着剤が剥がれやすくなりました。しかし、早めに剥がさないと再度接着してしまいますので急いで既存のクロスを剥がさなくてはいけません。

既存のクロスを剥がし終えたら専用の治具を使用し、新しいクロスを貼り付けていきます。

これにより定期的なメンテナンスが行われることでピアノは美しい音色と優れた演奏性を保ち、長く楽しむことが可能になります。

それでは、また👋