ヤマハのグランドピアノのフロントブッシングクロスとバランスブッシングクロスを交換するため鍵盤が乗っている土台ごと工房へ持ってきました。

使用頻度が高ければ高いほど鍵盤は横ブレがしやすくなります。
鍵盤の先端を摘まんで5㎜以上動く場合はクロスが消耗しているため交換しなくてはいけません。

鍵盤のクロスを交換する前に「筬」と呼ばれる鍵盤の土台を綺麗に掃除していきます。
グランドピアノの場合、アップライトピアノの構造とは違うため簡単に鍵盤下の部分を掃除することができません。
そのため埃が溜まりやすくなります。

溜まっていた埃を刷毛を使って取り除いていきます。

最初と比べたら綺麗になりましたね。筬の掃除が終わったら鍵盤ブッシングクロスの交換作業に移ります。

既存のブッシングクロスを取る際は温めて接着力を弱めてからでないといけません。無理やり取ろうとするとクロスが変に残ってしまい、取りにくくなります。

放置すると接着剤が固まってしまうので、熱が十分通ったら既存のクロスを手早く取り外していきます。

既存のブッシングクロスの取り外しが完了。新しいクロスを貼るための準備に取り掛かります。

取り損ねたクロスがたまに残ってる場合があるため鑢を使用し、中を掃除。
表面を掃除することで新しいクロスを接着しやすくさせます。

掃除が終わり次第、新しいクロスを貼り付けていきます。
クロスには厚さが1.1mm/1.2mm等の種類があるため適切なクロスを選び、専用の工具で張り付けていきます。

一つ一つクロスを貼り付けていったらクロスを確実に接着するための専用治具を使用し、固定していきます。

奥のクロス貼り替え作業が終わり、治具で固定中。
しっかり接着するまで時間を掛けます。

新しく貼り替えたクロスは膨張する場合があるので、その場合は専用の工具で調整して鍵盤がスムーズに動作するか確認しながら組み込んでいきます。

クロスの調整が終わり、鍵盤も組み込んだので、これで預かり修理作業は完了となります。
後はハンマーが付いてるアクション機構を取り付け、本体に収めるだけです。