セルロイドの磨き作業
ピアノ鍵盤を傷つけずに効果的に磨くためには、適切な道具の選定が必須です。
柔らかく繊細な磨き専用の布を用意し、卓上バフ機に取り付けて表面を磨いていきます。
汚れの種類や他の素材部分の有無によって適切な磨き剤の選択も必要です。
調律師が使用するピアノ用鍵盤磨きの物は通常、市販の一般的なクリーニング剤とは異なる特殊な製品を使用します。
これらのクリーニング剤はセルロイドに優しく、汚れや傷を取り除く効果があります。
また、高度な技術を駆使して微細な部分まで手入れを行い、鍵盤の美しさを最大限に引き出します。
そのうえで作業環境を整え、適切な工具や磨き用溶剤を用意しながら作業を進めます。
また、事前の鍵盤検査を怠らず、修復が必要な場合は適切な処理を行いますが、セルロイドの場合は現在使われていない素材のため対処が不可能な場合があります。
一方で、重度な汚れや深い傷には対処可能です。
途中まで磨き終えたセルロイドの白鍵。
←が作業前。→が作業後となります。
セルロイドの鍵盤は綺麗に磨かないと表面にムラが出てしまい逆に汚くなってしまいます。
何度も表面にムラが出ていないか確認しながら磨くので作業時間が掛かります。
磨き作業では特殊な工具や専門技術が使用され、損傷を最小限に抑えながらも美しい仕上がりを実現します。
重要なのは早めに調律師に相談し、悪化を防ぐことです。
セルロイドの磨き作業は難しいため調律師に相談することをおすすめします。
磨き終わったセルロイドの鍵盤。白く見えますが、落ち着いたアイボリー調の鍵盤になります。
磨き作業を行うだけでも美観を取り戻せるのでお勧めの作業でもあります。
湿度変化に対する注意と対策
蛇足になりますが湿度の変化はセルロイドに影響を与える可能性があります。急激な湿度変化はセルロイドの歪みや割れの原因となります。湿度変化が激しい場所では、湿度計を活用して湿度管理を徹底し、必要に応じて加湿器や除湿器を使って安定した環境を維持することが重要です。
季節や気候の変化により、鍵盤にも注意が必要です。
夏季は高温多湿となりがちですので鍵盤が直射日光を受けないようにし、湿度対策をしっかりと行いましょう。
冬季は乾燥が進みますので、加湿器を使用するなどして湿度を調整し、乾燥を防ぎます。
調律師のピアノクリーニングサービスは定期的に利用することが強く推奨されます。
定期的なメンテナンスにより、セルロイドの劣化や変色を防ぎ、ピアノの寿命を延ばすことができます。
また、プロの調律師による診断で潜在的な問題を早期に発見し、適切な対処ができます。